抑うつ気分、抑うつ症状、うつ状態、うつ病の違い

「抑うつ気分」「抑うつ症状」「うつ状態」「うつ病」
似たような用語が使われるのですが、その違いについて書いてみます

抑うつ気分

 抑うつ気分というのは、楽しい、嬉しい、悲しい、怒り、などの気分の一つの状態を表します。抑うつ気分は誰でもが経験することのあるものです。気分と感情の違いは明確ではありませんが、気分の方が比較的持続し、感情ほどはっきりとわかれていないものを表しているように思います。

抑うつ症状

 抑うつ症状は症状の集まりを指します。抑うつ症状には、
憂うつ/気分の日内変動/悲しみ/睡眠障害/食欲減退/性欲減退/疲労感/思考の混乱/絶望感/焦り/空虚感/自殺念慮
などが含まれます。抑うつ気分は抑うつ症状の1つになります。抑うつ症状も程度の差はありますが、誰でも経験することがあるものです

うつ状態

 うつ状態は抑うつ症状の高い状態を表します。正常か異常か、というラインが出てくるため人の分類基準になってきます。症状の重症度をもとにしてうつ状態にある人とない人に分類することが出来ます。当ルームでも抑うつ症状の心理尺度を使っており、得点によって重症度を見ています。抑うつ気分、抑うつ症状は誰もが経験することはありますが、うつ状態に入る人は少なくなります。症状の高さに加えて、慢性的な持続期間が基準に入ってくるように思います。

うつ病

 うつ病は精神疾患の名前になります。かつてのうつ病はうつ状態の病因と考えられていましたが、診断基準が変わり、症状の有無と日常生活の支障の程度から診断されるようになりました。
 診断基準としては、持続する憂鬱な気分、または物事への興味関心の喪失、のどちらかにあてはまること、そしてその期間はほとんど一日中、2週間持続していることとされています。うつ病であっても憂鬱な気分の持続が見られない方もおられます。

 うつ状態にあってもそれがイコールうつ病によるものとは限りません。例えば高齢者のうつ病と認知症は同じような状態を示すことが示されています。症状の程度だけでなく、うつ病のエピソードにあたるかどうかが診断によって判断されます。診断の際は、疑わしい診断にあてはまるかどうかと、他に可能性のある身体疾患、精神疾患を除外することが重要となります。
 以前は気分障害という診断もありました。うつ病、双極性障害、気分変調性障害を含んで気分障害と言われていましたが、最近なくなりました。
 近年は昔ほど重症化する典型的なうつ病は減り、社会生活を送れてはいるものの軽度から中等度の症状が残るものが増えたと言われています。また、診断が治療効果にそれほど影響していないことを示した研究など出てきています。診断も難しくなっているようです。

 カウンセリングの場合、正確な診断があると、その人がどんなことに困りやすいかを予想しやすくすることと、その後どのような経過をたどるのかを予測しやすくなるように思います。カウンセリングではどのような理由で抑うつ状態になっているのかを明らかにして、改善を考えていきます