カウンセリングの進み方

 カウンセリングには、「話を聞いてもらう」というイメージで来られる方が多いです。ここでは少し詳しく、TRACE高宮のカウンセリングでは何が行われるのか、進んでいく時期にそって書いてみます。

初回カウンセリング

 入室し、ご挨拶をして、申込書類を記入いただきます。ご自分についての相談の場合は、うつ、不安、不眠のチェックリストもみなさんご記入いただきます。説明の後、カウンセリングが始まります。最初はカウンセラーから質問をして、その後お話を聞きます。初回カウンセリングは70分あります

1 何に悩んでいるか理解する

 カウンセリングの初期に明らかにすることは、自分が「何に悩んでいるか」を把握することです。これがスムーズに進むこともあれば、進まないこともあります。「支障を感じているけども、それが何から起きているか理解できていない」、「気づいている悩みごとはあるけども、他にも優先すべき悩みごとがある」など、進まない理由は色々あります。カウンセリングの時間は限られていますので、多くの話を並行して進めることができません。「こういうことで困っておられるように思います」「こういう症状があるように思います」、とカウンセラーからも話をします。

 今何に悩んでいるか、今どんな生活を送っているかを把握することは、カウンセリングの「目標設定」に関わる大事な作業です。「自分はこう在りたい」「こうなりたい」「こんな生活を送りたい」という目標がカウンセリングを進める上で重要です。カウンセリングは、悩み事があるから悩み事を無くしていく、というものではなく、自分がこうなりたいと思う目標に対して支障になる部分を改善していくものです。目標設定があることでやるべきことが見えてきます。

2 悩み事はどのように起きているか、仕組みを理解する

 カウンセリングで扱う悩みごとに合意が出来たら、「悩みごとはどのように起きているか」を理解していきます。話されたことから悩みごとの仕組みを考え、実際の場面でそれを観察してもらいます。これを「モニタリング」と言います。TRACE高宮では「認知行動療法」を主な方法にしていますので、悩みごとは個人の範囲で扱えるものを、現在の生活の中の思考と行動から考えていきます。一般的なカウンセリングと異なり、認知行動療法は「自分で自分の治療者になる」と言われます。自分の悩み事の仕組みがわかると、自分で必要な対応がとれるようになり、悩み事を予防出来るようになります。スムーズに進めば初回カウンセリングの最後にモニタリングが出されます。悩みごとが複雑な場合や、優先して扱う悩みごとに合意がとれない場合はその後のカウンセリングでもヒアリングを続けます。

 悩み事がどのように起きているかが理解できた頃には、ストレスとなっているものから離れることや、必要なサポートを得ることに関してもアドバイスがなされています。それによって、来たときよりも悩みごとに圧倒されなくなっている方が多いです。そこで良くなったと感じてやめていかれる方もおられるのですが、もう少し頑張って続けて欲しいところです。

 ここまでで行っていることは、「悩みごとから離れられるようになり落ち着いた」ということなのですが、良くなるということは、「悩みごとに近づけるようになる」ということなのです。「落ち着く」ことと「良くなる」ことは異なります。「良くなる」ということは「出来なかったことが出来るようになる」ということです。この辺りは持っている能力や状態、使える資源などに個人差がありますので、悩み事から離れられるところまでがちょうどよい方もおられます。

3 何をしたらいいか話し合う

 悩みごとの仕組みが理解できると、次に改善方法が検討できます。わかってきた思考と行動による仕組みを基に、何をしたらいいかを考えていきます。一般的に考える悩みごとの改善方法と、専門家の考える方法は異なりますので、理解しやすい方法もあれば、理解し難い方法もあります。何かをするということは少なからず負担になることもありますので、カウンセラーがついて、どんな変化が起きるかを予想しながら進めていきます。

 「この回でカウンセリングを終わりの予定にしている」「1回だけ相談にきた」、など継続の予定がない方には、仕組みの理解はほどほどに考えられる改善方法を伝えます。カウンセラーからのアドバイスにも出来ること出来ないことあると思いますので、良くなると考えられることは最大限伝えています。そのため、1回だけ受ける予定の方には初回120分で受けることを勧めています。120分あれば十分に話し合えますし、悩みによっては2回目以降のカウンセリングで行われることを体験することも出来ます。継続的なカウンセリングの場合は、その人に出来ることを徐々にやっていくことになります。

4 良くなっているかを評価する

 何をするかと同じくらいに重要なのが、データを取り、良くなっているかを評価することです。データをとることで今の状態が共有でき、自分が良くなっているかが実感できます。例えば子どもさんの不登校であれば授業に出れるようになった時間が増えているかなど、精神疾患であれば症状が和らいでいるかや日々の過ごし方が良くなっているかなどになります。改善が見られない場合は、方法を調整するか、他の方法に変えるか、悩み事ごとの仕組みを再検討するか、扱う悩み事を再検討することになります。

5 終結

 悩み事の改善方法が身につき、何かしらの生活上の区切りがあった所で終結に移る方が多いです。定期的にフォローアップする方が責任を果たせて望ましいのですが、必要な時にご連絡いただくようにしています。TRACE高宮はメールをいただいたら終結後もお返事しています。

 以上のように、TRACE高宮のカウンセリングは普通のカウンセリングよりも取り組むことが多く、継続される方には、1か月間に4回まで予約が出来る【定額制】を勧めています。頑張って2週に1回は来られるといいです。意欲的に取り組まれる方には最大限協力していますよ。

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