カウンセリングの効果と目安

 「カウンセリングって効果があるのか」「どのくらい通えばよくなるのか」という疑問をもたれる方も多いと思います。

 しかし何をもってカウンセリングに効果があったというかは簡単ではないように思います。例えば、「相談することで悩み事が解消したか」ということをカウンセリングの効果と考えることは出来ますが、悩み事の解消は、一つの方向性をもたないことが多いのです。

 例えば、「会社にいけない」という悩みの解消は、また出勤できるようになることかもしれませんし、他の仕事に転職することかもしれません。「家事ができない」という悩みの解消は、また家事が出来るようになることかもしれませんし、家族が手伝ってくれるようになることかもしれません。悩み事がどのように解消するのがいいのかは、個々人によって異なり、一つの方向性で測ることは難しいように思います。

 一方で、悩み事があると眠れなかったり気分が落ち込んだりすることや、悩み事の背景に精神疾患が隠れていることもあります。そして精神疾患や症状の改善に関しては一つの方向性があるように思います。誰だって病気でいるよりは健康でありたいと思うでしょうし、気分は落ち込んでいるより晴れている方が良いでしょう。不安で落ち着かないよりもこころ穏やかに過ごせる方が良いし、眠れないよりは眠れた方が良いと思います。

 これまでわたしは医療機関で働いてきて、自分の担当したクライエントさんがカウンセリングを受けて症状が改善しているかどうかを、地道に検証してきました。こんなことをしているカウンセラーはほとんどいないと思います。その結果をまとめてみましたので、当ルームを選ぶ際の参考にしていただけたらと思います。

 2年半の間、カウンセリングを担当したほとんど全てのクライエントさんに対して、毎回のカウンセリング時に、抑うつ症状(気持ちが落ち込む、気力がわかないなど)と不安(神経過敏に感じる、心配をとめられないなど)の程度を評価してもらい、カウンセリングを受けるにつれて症状がどのくらい和らいでいるかを見てもらいました。

 使用したチェックリストはPHQ9とGAD7というもので、カウンセリングの効果研究で国際的にも使われている信頼性の高いものです(インターネットで検索するとすぐに見つかると思います)。専門用語では患者報告アウトカムと言われ、クライエントさん自身がどの程度苦痛を感じているかを測るものです。

抑うつ症状の改善

  • 2年半の間、全部で56人の方とカウンセリングを始めていました。
  • 年齢は12歳から75歳でした。
  • カウンセリングの期間は1か月から23か月の間でした。
  • 診断名は様々で、ほとんどの方が何かしらの精神疾患の診断を受けていました。不安症、気分障害にあてはまる方が大多数でした。
  • カウンセリングの経過中10点以上(中等度以上の抑うつ症状)を示した方が、56人中27名おられました。以下は27名の特徴を書いてみます。
  • カウンセリングと並行して薬物療法がおこなわれていた人が24人でした。カウンセリング開始前より薬物療法が行われていた人が19人、カウンセリングと同時期に薬物療法が開始された人が5人でした。
  • カウンセリングの経過で認知行動療法を行ったものは11人でした

 中等度以上の抑うつ症状を示した27名の症状の推移を示しました。横軸がカウンセリングの回数、縦軸が抑うつ得点を示し、得点が高いほど症状が重症であることを意味します。改善につれてチェックリストを使った評価はしなくなりましたので、回数が進むにつれて少なくなっています。

 カウンセリングを受けた大多数の人は11セッションを超えた頃(隔週で6か月目くらい)には症状が落ち着いておられました。一方でなかなか安定しない人も3名おられました。初回から3セッション以内にこなくなった人が5名おられました。

不安の改善

 カウンセリングの経過中、10点以上(中等度以上の不安症状)を示した方が19名おられました。

 1回目から2回目の間の変化が大きく、大多数の方は10セッションを超えた頃(隔週で5か月目くらい)には症状が落ち着いておられました。一方でなかなか安定しない方も3名おられました。初回から3セッション以内にこなくなった人が3名おられました。

 2/3の方はカウンセリングを続けると良くなるようです。
 わたしは「認定行動療法士」という認知行動療法の資格を持っているのですが、カウンセリングの中で認知行動療法を適用したものは11名でした。必要なことがなされれば、特別な技法を用いることなく落ち着いていかれる方は多いようです。

 ではカウンセリングでは何をしているかというと、大まかにですが、「話をする」「話を聞いてもらう」「ストレスから離れる」「家族や人間関係のサポートを得る」「自分がどんな状態にあるかわかる」「自分を相対化する」「自分の状態を受け入れる」「問題の仕組みがわかる」「解決方法がわかる」などがなされているように思います。

 一方で来なくなった方も何人かおられました。その方がカウンセリングを続けていれば良くなったかはわかりません。そして残念ながらなかなか落ち着かない方もおられます。理由はいろいろですが、カウンセリングの時間に情報が取れなかったり、話し合ったことが日常生活に活かせなかったり、抱えている問題が非常に難しいこともあります。

 うつ病や抑うつ状態の治療としては薬物療法が一般的に行われていますが、抗うつ薬単体での寛解率は3割ほど、そして長期的に用いても反応率はそれほど上がらず、再発・再燃率が上がることが示されています。現在の所、薬物療法とカウンセリングを並行し、ほかに出来ることがないかを探していくのが最善であるように思います。症状がなかなか良くならない時には、出来るだけ生活への支障が少なくなるように努めます。

 当ルームでのカウンセリング・電話相談にはメールでのサポートを無料でつけています。カウンセリングだけではどうにも難しい方や、途中で途切れやすい方もサポートしていけたらと思います。

 「気持ちが落ち込む/気分が晴れない/自分が悪いと思う/疲れやすい/楽しめない/物事が億劫に感じる」などの抑うつ症状の改善に効果的なカウンセリングに対しては、これからも特に力を入れて取り組んでいきます。改善の難しい長期化した抑うつ状態にある方も引き受けていきます。

 「出来るだけ早く苦痛を和らげ、丁寧に、長期的にフォローを行う」ことを当ルームでは目指しています。

メールつきカウンセリングとは