不登校になった後、どのくらいの子が再登校出来るようになるのか?

不登校になった後、どのくらいの子が再登校出来るようになるのか?

不登校に悩むお子さんと親御さんはたくさんおられます

わたしが大学の相談室でカウンセラーをしていた頃は、申し込みの半分近くは不登校の相談でした

不登校が気になった時に、「何をしたら良くなるか?」「どんな声掛けが良いか?」など対応方法の情報も良いのですが、疫学的なデータというのも知っていて損はありません

そして学校という所はしっかりとした機関ですので、不登校に関するデータはたくさんとられています

今回は「平成30年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について」を読んで不登校の実際を書いてみます。この資料はネットで検索すると読むことができますよ

1.長期欠席者数

小中学校

  • 全国の小中学校には、973万373人の児童生徒がいます
  • その中に年間30日以上休んでいる「長期欠席者」が24万39人います
  • 長期欠席者のうち、病気と経済的理由を除いた「不登校」は16万4528人です
  • 割合にすると、小中校生全体の1.7%が不登校です

高校

  • 全国の高校には324万2065人の生徒がいます
  • その中に長期欠席者が8万752人、不登校は5万2723人います
  • 割合にすると、高校生全体の1.6%が不登校です

2.不登校生徒の在籍学校数

  • 全国の小中学校の72.4%に不登校はいます
  • 全国の高校の88.3%に不登校はいます

3.不登校児童生徒数の推移

小中学校

  • 児童生徒の人数は、平成3年の1434万5743人から、平成30年には973万373人に減少しています
  • 一方で不登校は、平成3年の6万6817人から、平成30年には16万4528人に増加しています
  • 近年は、平成24年の11万2689人から年々増加中です

高校

  • 高校の生徒数は、平成16年の371万1062人から、平成30年には324万2065人に減少しています
  • 不登校は、平成16年の11万287人から、平成30年には8万752人に減少しています
  • 近年は、平成27年の7万9357人からやや増加中です

4.学年別状況

  • 不登校は、小学1年生では2296人ですが、学年が上がるごとに増え続けて、中学3年生では4万5213人になっています
  • 高校では、高校1年生では1万3481人ですが、学年が上がるごとに減り続けて、高校3年生では9082人になっています

5.不登校の要因

不登校の要因は、「本人に関わるもの」と、「学校・家庭に関わる要因」があります

小学校

  • 本人に関わるものでは、「不安の傾向がある」35.9%、「無気力傾向」26.6%です
  • 学校・家庭に関わる要因では、「家庭に関わる状況」55.5%、「友人関係をめぐる問題」21.7%です

中学校

  • 本人に関わるものでは、「不安の傾向がある」32.4%、「無気力傾向」30%、「人間関係に課題を抱えている」18.7%です
  • 学校・家庭に関わる要因では、「家庭に関わる状況」30.9%、「友人関係をめぐる問題」30.1%です

高校

  • 本人に関わるものでは、「無気力傾向」31.7%、「不安の傾向がある」25.9%、「人間関係に課題を抱えている」18.7%です
  • 学校・家庭に関わる要因では、「友人関係をめぐる問題」19.8%、「学業不振」18.4%です

6.不登校児童生徒への指導状況

小中学校

  • 「指導の結果登校する又はできるようになった児童生徒」は、小学校26.8%、中学校26.4%です
  • 「指導中の児童生徒」は、小学校73.2%、中学校73.6%です

高校

  • 「指導の結果登校する又はできるようになった児童生徒」は39.1%です
  • 「指導中の児童生徒」は60.9%です

7.相談・指導等を受けた学校内外の機関

学校外

  • 教育支援センター(適応指導教室)
  • 教育委員会及び教育センター
  • 児童相談所、福祉事務所
  • 保健所、精神保健福祉センター
  • 病院、診療所
  • 民間団体、民間施設

学校内

  • 養護教諭
  • スクールカウンセラー、相談員

8.不登校の状態が前年度から継続している児童生徒数

  • 小学校では42.6%、中学校では54.3%です
  • 高校では30.8%です

不登校のカウンセリング


 子どもの人口は減り続け、不登校は増え続けています。学年が上がるにつれて不登校は増えていますが、良くならないままの子どもが積もっていくためだと思います。

 不登校の要因をみると、不安と無気力が6割の子に見られます。カウンセリングを受ける時は、この2つの問題に対してのアプローチが必要になります。認知行動療法では、認知再構成法、段階的エクスポージャー法、行動活性化法、トークンエコノミー法などの方法が対応しています。どのように不安が起きているととらえ、それをどのように改善しようとするか、無気力をどのような問題と捉え、どのような方法を用いるか、子どもが訴えている問題は重要な部分なのか、どこを問題とするといいのか、などを考えて進める必要があります。

 学内・学外の専門機関に相談した結果、再度登校できるようになっている子は26%という結果です。期間は考慮せず地点で評価しているのだと思いますが、なかなか衝撃的な数字です。専門家に見てもらっても、良くなったとまでは言えない子の方が多いようです。学年が変わっても、小中学生の42%から54%は不登校のままです。言い変えると、1度不登校になったら、およそ半分の確率で1年後も不登校のままです。高校では30%とやや少ないですが、高校には留年、退学制度があるため、学校からいなくなるためだと思われます

 今回は再登校をデータにされていますが、教室復帰までのステップとして使われる方法に、「保健室登校」「別室登校」があります。それがどこにカウントされるのかは読んだ限り見辺りませんが、登校としてカウントされているのだとしたら、教室復帰できる子どもの数はもっと少ないものです

 そのくらい不登校は難しく、改善にはそれなりの労力を要するということです


 TRACE高宮では不登校の親御さんの相談も受けています。基本的には週に1回か2週に1回、親子で通っていただき、カウンセリングの間は記録や課題をこなしてもらいます。どんな心理社会的問題にもある傾向ですが、長期化している程改善には時間と労力がかかります。スタンダードな生活がまだ学校にあるのか、家に移ってしまっているのかによっても出来ることが変わってきます。必要であれば「メール相談」も利用してもらい丁寧に進めます。

 TRACE高宮のカウンセリングは労力がいる方だと思いますが、意欲的に取り組まれたいと希望される方には合うと思いますし、最大限サポートします

 
 質問のある方、聞いてみたいことのある方は、「無料メール相談」をご利用ください。1営業日以内にお返事しています

文献