うつ病の薬物治療で第1選択の薬は何か?

 精神科/心療内科で治療中の方がカウンセリングへ来られた場合、飲んでいるお薬とこれまでの経過について尋ね、必要なことが十分になされているけどもよくならないのか、必要なことがなされていないからよくならないのかを見ています。

 精神科で出される薬の効果は個人差が大きく、効く人と効かない人が出てくるのは仕方がないことなのですが、自分の患っている精神疾患に対して「標準的に推奨されている薬物治療」というのは知っておいたほうがいいと思います

 うつ病の治療に関しては、日本うつ病学会が「うつ病/大うつ病性障害の薬物治療ガイドライン」を発行しています。その中でうつ病は「軽症/中等症から重症/精神病性の特徴を持つもの」に3つにわけられ、各々に推奨される薬物治療が書いてあります。
 今日はこのガイドラインを参考に、うつ病治療で標準的に推奨される第1選択の薬について書いてみます

うつ病と神経伝達物質

 精神疾患に出される薬は、脳の神経伝達物質に作用すると考えられているものが多いです。人の気分や行動は脳の働きから影響を受けており、うつ病では、脳の神経伝達物質が減少しているために症状が出ていると考えられています。抑うつ症状と関連するとされている神経伝達物質は以下の3つです。

セロトニン
 衝動性 不安、焦燥、気分、感情、認知機能、食欲、性欲、攻撃性

ノルアドレナリン
 活力、興味 不安、焦燥、気分、感情、認知機能、動機

ドーパミン
 活動性 動機、気分、感情、認知機能、食欲、性欲、攻撃性

 抗うつ薬は、セロトニンとノルアドレナリンに作用するものが多いです。


うつ病の診断基準

 DSM-5では、うつ病/気分障害は、9つある診断基準のうちの5項目以上があてはまり、その症状は一時的な物質摂取や身体疾患によるものでなく、対人関係や職業、学業や家庭生活などに支障をきたしていることによって診断されます。5項目のうち少なくとも1つは「1.抑うつ気分」または「2.興味、喜びの喪失」を含み、その状態が2週間にわたって存在することが必要とされています。

うつ病/大うつ病性障害の診断基準 DSM-5

  1. その人自身の明言 (例えば、悲しみまたは、空虚感を感じる) か、他者の観察 (例えば、涙を流しているように見える) によって示される、ほとんど1日中、ほとんど毎日の抑うつ気分。(注:小児や青年ではいらいらした気分もありうる)。
  2. ほとんど1日中、ほとんど毎日、すべてまたはほとんどすべての活動における興味、喜びの著しい減退 (その人の言明、または観察によって示される)。
  3. 食事療法中ではない著しい体重減少、あるいは体重増加 (例えば、1ヶ月に5%以上の体重変化)、またはほとんど毎日の食欲の減退または増加。(注: 小児の場合、期待される体重増加が見られないことも考慮せよ)
  4. ほとんど毎日の不眠または睡眠過多。
  5. ほとんど毎日の精神運動性の焦燥または制止(ただ単に落ち着きがないとか、のろくなったという主観的感覚ではなく、他者によって観察可能なもの)。
  6. ほとんど毎日の易疲労性、または気力の減退。
  7. 無価値観、または過剰あるいは不適切な罪責感(妄想的であることもある)がほとんど毎日存在(単に自分をとがめる気持ちや、病気になったことに対する罪の意識ではない)。
  8. 思考力や集中力の減退、または決断困難がほとんど毎日存在(その人自身の言明、あるいは他者による観察による)。
  9. 死についての反復思考(死の恐怖だけではない)、特別な計画はない反復的な自殺念慮、自殺企図、または自殺するためのはっきりとした計画。

(飯田橋東口診療所HPを一部改変)


うつ病の重症度

 うつ病の重症度は、該当する診断項目の数、その深刻さ、および機能障害の度合いによって規定されます。

軽症
 9項目のうち 5 項目を概ね超えない程度に満たし、苦痛は感じられるが、対人関係上・職業上の機能障害はわずかな状態にとどまる場合。

中等症
 軽症と重症の中間に相当するもの。

重症
 診断基準 9 項目のうち、5 項目をはるかに超えて満たし、症状は極めて苦痛で、機能が著明に損なわれている。


症状評価尺度を用いた重症度

 症状評価尺度を用いて重症度を評価することも出来ます。注意点は、各研究、各ガイドラインによって重症度を示す得点レンジが異なることです。ハミルトンうつ病評価尺度を用いたものを見ると、イギリスのNICEガイドラインでは、「8~13点を診断閾値下抑うつ状態」、「14~18点を軽症うつ病」としていますが、アメリカのAPAガイドラインでは「8~13点を軽症」、「14~18点を中等症」としています。


1.軽症うつ病の薬物治療

 軽症うつ病に対する抗うつ薬間の効果の差はわずかしかないため、忍容性(副作用、身体疾患、飲み合わせなどの安全性)の面から薬を選択することになります。SSRI(セロトニン再取り込み阻害薬)、SNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)、ミルタザピン(四環系抗うつ薬)などの新規抗うつ薬の使用が推奨されています。抗うつ薬は単剤で、十分な容量を、充分な期間使用する必要があります。最少投薬量から始め、速やかに最大投薬量まで増量が必要です。抗うつ薬は効果出現まで8週間が必要とされています。

軽症うつ病の第1選択薬

  • 新規抗うつ薬(SSRI、SNRI、ミルタザピンなど)


境界性パーソナリティ障害の合併がある場合

 境界性パーソナリティ障害を合併している場合はアクチベーションのリスクが増すため、抗うつ薬を使用せず、気分安定薬や第2世代抗精神病薬の使用も検討する必要があります。
※第2世代抗精神病薬(新規抗精神病薬)
 ドーパミンだけでなくセロトニンやその他の神経伝達物質への作用をもっている薬。うつ病に適応があるものはアリピプラゾール(エビリファイ)。

双極性障害の抑うつエピソードの場合

 気分安定薬や第2世代抗精神病薬を中心とした治療が推奨されます


有害事象

抗うつ薬

 抗うつ薬を開始する際には、副作用やアクチベーション症候群に注意し、少量から漸増することが原則とされています。パーソナリティ障害や双極性障害の可能性が否定できない場合には、アクチベーションを避けるために安易な抗うつ薬使用は避けることが望ましいです。アルコール依存やベンゾジアゼピン依存などの物質関連障害および嗜癖性症候群を合併している場合には、衝動性が高まり自殺の危険性が増すため、十分な注意が必要です
※アクチベーション症候群
 焦燥感や不安感の増大、不眠、パニック発作、アカシジア、敵意・易刺激性・衝動性の亢進、躁・軽躁状態

第2世代抗精神病薬(非定型抗精神病薬)

 体重増加や糖代謝障害(血糖値が上がるなど)、脂質代謝異常(コレステロール値や中性脂肪値が上がるなど)に注意する必要があります。特に、オランザピン(ジプレキサ)、クエチアピン(セロクエル)は、糖尿病をもつ人には禁忌とされています。

スルピリド(ドグマチール)

 アカシジア、遅発性ジスキネジア発現の恐れがあるほか、高齢者や女性、小児に使用する場合には、パーキンソン症候群、高プロラクチン血症などの副作用にも注意が必要です

ベンゾジアゼピン系抗不安薬(BZD)

 抗うつ薬との併用が治療初期には抗うつ薬単独よりも治療効果が高いことが示されています。しかし、脱抑制、興奮といった奇異反応の出現、乱用や依存形成に注意して、安易な長期処方は避けることが望ましいです。特にアルコールをはじめとした物質依存の合併・既往のある場合には推奨されません。


2.中等症/重症うつ病

 中等症/重症うつ病では全ての抗うつ薬が第一選択となりえます。TCA(三環系抗うつ薬)が有効性に勝るという専門家の意見もありますが、明確な差は示されていません。そのため忍容性を考慮して選択することになります。

中等症/重症うつ病第1選択薬

  • 全ての抗うつ薬が選択肢になりえる

 抗うつ薬は単剤で使用し、多剤併用は行わないことが基本です。十分量・十分な期間使用して、用量不足や観察期間不足による見かけの難治例を防止する必要があります。症状の悪化がみられた場合、まずは処方した薬剤による有害作用の可能性を考える必要があります。例えば、抗うつ薬によるアカシジアで不眠を引き起こしていないか、併用したBZDで過鎮静になっていないか、などです。
 部分反応はあるが寛解に至らない時は、入院環境もしくは頻回の外来診察を条件として、有害作用に特別の注意を払いながら、例外的に最大投薬量を超えて使用されることもあります。

 最初に投与された抗うつ薬が効かない場合、薬剤変更、増強療法、併用療法のいずれかが行われることになります。


薬剤変更

 SSRI から SSRI へ、 SSRI から SNRI へ、 SSRI からミルタザピンへ、 SSRI からTCA/non TCA へ、という 4 通りの薬物変更に関する研究がありますが、最初に投与した抗うつ薬が効かない場合、他の抗うつ薬に変更することで、反応率・寛解率が上がることを示した研究は厳密にはありません。副作用のためにお薬を変更することはありますが、最初の薬が効かない場合、残念ながら、抗うつ薬単剤での効果はあまり期待できないということです。
※TCA/non TCA
 新規抗うつ薬以外のうつ病に保険適用のあるもの。イミプラミン(トフラニール、イミドール)、クロミプラミン(アナフラニール)、トリミプラミン(スンモンチール)、ロフェプラミン(アンプリット)、アミトリプチリン(トリプタノール)、ノルトリプチリン(ノリトレン)、アモキサピン(アモキサン)、ドスレピン(プロチアデン)、マプロチリン(ルジオミール)、ミアンセリン(テトラミド)、セチプチリン(テシプール) 、トラゾドン(デジレル、レスリン)。


増強療法

 抗うつ薬単剤を主剤として、抗うつ薬以外の薬物を併用することを「抗うつ効果増強療法」と呼びます。増強療法には気分安定薬、甲状腺ホルモン、非定型抗精神病薬を用いる方法があります。

リチウム

 リチウム追加による抗うつ効果増強作用が多くの研究で示されています。増強効果はTCAで発揮されやすく、SSRI/SNRIでは発揮されにくいという報告があります。SSRIとリチウムの併用で、セロトニン症候群が起こりやすいという指摘があります。リチウムは有効血中濃度と中毒濃度が近接しているため、最低血中濃度をモニターする必要があります。

ラモトリギン(ラミクタール)、バルプロ酸(デパケン)、カルバマゼピン(テグレトール)

 十分な研究はありませんが、増強療法に用いることが出来る可能性があります。ラモトリギンは、重篤な副作用であるスティーブンス・ジョンソン症候群の出現に十分注意して投与する必要があります。

T3/T4(トリヨードサイロニン/レボチロキシン)

 TCAに対するT3/T4による増強効果を示した研究があります。SSRIをT3/T4で増強すると、焦燥や不眠が悪化することがあるので注意が必要です。

非定型抗精神病薬(AAP)

 AAPによる増強効果も一定の評価を受けています。アリピプラゾール(エビリファイ)が日本で唯一のうつ病の増強療法の保険適用のあるAAPです。一方でAAPはコストも高く、有害作用を上回るほどの有効性があるのかを考慮すべきです。AAPによる増強よりも、TCAへの変更や、リチウムの増強療法が優先されるべきとされています。


併用療法

 多剤併用の効果を見た研究では一貫した結果は得られていません。同一種類の抗うつ薬を多数併用することは推奨されていません。

ミルタザピンと新規抗うつ薬の併用

 十分な抗うつ薬治療に反応しなかった場合に有効であったという報告がありますが、有効でなかったという報告も多数あります。有害作用の起こる可能性が高いことが報告されています。

ミアンセリン(テトラミド)と新規抗うつ薬の併用

 併用が有効であったという報告がある一方、有効でなかったという報告もあります。

抗うつ薬とBZDの併用

 中等症以上のうつ病では、不安、焦燥、不眠への対処にBZDが必要となることが多いですが、必要な場合でも、抗不安薬1剤、睡眠薬1剤までが原則とされています。BZDが漫然と投与継続された結果、過鎮静、意識障害、脱抑制による衝動性の亢進などが起こり、うつ病の症状が遷延ないし悪化したように見えることがあります。筋弛緩や呼吸抑制、常用量依存なども起こりやすいため注意が必要です。


有害事象

TCA

 TCAは抗コリン作用・心循環系有害作用が強く見られやすいです。またTCAの過量内服はSSRIに比べて自殺既遂にいたる確率が高いとされています。しかし、TCAを使用しても有害作用がほとんど出ない症例も多く、逆にSSRIであっても重篤な有害作用が見られることもあります。SSRIとTCAを併用すると、特にフルボキサミンやパロキセチンの使用で、TCAの血中濃度が上昇する恐れがあります。

リチウム

 腎機能障害、甲状腺機能低下症、血中Ca濃度上昇、副甲状腺機能亢進症が特に注意すべき有害作用です。血中リチウム濃度以外に、fT4、TSH、Ca濃度、GFRなどのモニターを行うことが推奨されています。

AAP

 体重増加、耐糖能異常、高脂血症、高プロラクチン血症、性機能障害、アカシジア、遅発性ジスキネジアなどの錐体外路症状、悪性症候群、QT延長といった有害作用のリスクを慎重に考慮して、安易な併用は控えるべきです。

心停止

 シタロプラムとノルトリプチリン(ノリトレン)で心停止のリスク上昇が報告されています

高齢者

 SSRIを処方された高齢者では、低用量のTCAを処方された場合に比べて、死亡、脳卒中、転倒、骨折などのリスクが高かったという報告があります。

妊娠中

 妊娠中の抗うつ薬使用に関しては、有害作用が見られたという報告と、見られないという報告が混在しています。妊娠後期に SSRI を服用した場合、新生児に遷延性肺高血圧症のリスクが高まる可能性、胎児の成長への影響、早産、新生児痙攣、母体の産後出血などが報告されています。一方で、死産、 新生児・ 0 歳児死亡には有意な関連がない、生後 1 年間の体格に差はない、発育不全に関連しない、心奇形リスク上昇に有意な関連は見られない、という報告もあります。自閉スペクトラム症発症のリスク増加の指摘もありますが、関連しなかったとする結果もあります。抗うつ薬服薬の影響に加えて、うつ病の影響も考慮するべきです。


3.精神病性うつ病

 精神病性うつ病は妄想と幻覚を伴ったもので、「気分に一致した精神病性の特徴」と「気分に一致しない精神病性の特徴」にわけられます。

気分に一致した精神病性の特徴

 妄想や幻覚の内容が個人的不全感、罪責感、病気、死、虚無感、または報いとしての処罰、など典型的な抑うつ性の主題と合致しているものです。罪業妄想、虚無妄想、心気妄想、貧困妄想などが含まれます。

気分に一致しない精神病性の特徴

 妄想や幻覚の内容が抑うつ性の主題から離れるもので、被害妄想、思考吹入、思考伝播および被支配妄想などの症状が含まれます。「気分に一致しない精神病性の特徴」を有する場合は病識に乏しく、予後が悪いとされています。

 精神病性の特徴はうつ病の15%に見られ、入院を要するうつ病では25%、老年期うつ病では45%にのぼります。非精神病性うつ病と比較すると、再発率の高さ、入院回数の多さ、エピソードの長さ、生活能力の低下が著しく、自殺率や死亡率も高い傾向にあります。

 精神病性うつ病は、双極性障害の抑うつエピソードであることも少なくありません。特に若年患者はその可能性に留意する必要があります。双極性障害の他に、統合失調感情障害、統合失調症における精神病後抑うつ、妄想性障害などとの鑑別が重要となります。高齢者の場合はレビ-小体型認知症、身体疾患、治療薬による症状精神病との鑑別が必要です。

 アルコール依存やBZD依存を合併している場合には衝動性が高まり、自殺の危険性が増すために十分な注意が必要です。

 精神病性うつ病には三環系抗うつ薬の優れた効果が示されています。また、新規抗うつ薬の効果も示されています。アモキサピン(アモキサン)は効果があり、かつ副作用が少ないという報告があります。アモキサピンには、三環系抗うつ薬(TCA)と定型抗精神病薬(TAP)の併用と同様の薬理作用が想定されています。

精神病性うつ病の第1選択薬

  • 三環系抗うつ薬、新規抗うつ薬(SSRI、SNRI、NaSSA)、アモキサピン

※NaSSA(ノルアドレナリン作動性・特異的セロトニン作動性抗うつ薬)

抗精神病薬

 抗うつ薬単剤と比較しても効果が劣っています。退院後1年以内に80%以上の再発が報告されており、服薬を中止した時や抗精神病薬を減量している時に再発しています。抗精神病薬は数ヵ月、抗うつ薬は少なくとも1年以上継続するべきであるという見解が得られています。


併用療法

TCAとTAPの併用療法

 TCA単剤、TAP単剤と比較しても、併用療法に効果があったことが報告されています。

新規抗うつ薬とAAPの併用

 AAP単剤、プラセボ薬と比較しても、反応率が高かったことが報告されています

新規抗うつ薬とTAPの併用

 効果が証明されていません


緊張病を伴ううつ病

 緊張病とは、無動(カタレプシーや昏迷)、意味のない過活動、拒絶症、無言症、奇異な行動、反響言語、反響動作など、様々な精神運動性の障害を伴う一群を言います。

 緊張病症状は、気分障害である場合が44%、統合失調症である場合が28%、それ以外の精神疾患や感染症、代謝性疾患、神経疾患、悪性症候群でも見られることがあるので、基礎疾患の鑑別診断が重要となります。

BZD

 無言状態や昏迷状態にある場合は、BZDの効果が確実です。ジアゼパムの注射製剤が使われることもあります。

抗精神病薬

 抗精神病薬の効果は結果が一致しておらず、有害事象の報告もあります。最近はAAPの有効性を示したものが増えています。


抗うつ薬の一般名(商品名)、開始用量、最大投薬量/1日

SSRI

  • エスシタロプラム(レクサプロ) 10mg、20mg
  • セルトラリン(ジョイゾロフト) 25mg、100mg
  • パロキセチン(パキシル) 10-20mg、40mg
  • フルボキサミン(デプロメール、ルボックス) 50mg、150mg

SNRI

  • デュロキセチン(サインバルタ) 20mg、60mg
  • ミルナシプラン(トレドミン) 25mg、100mg
  • ベンラファキシン(イフェクサー) 37.5mg、225mg

三環系抗うつ薬(TCA)

  • アミトリプチリン(トリプタノール) 30-75mg、150まれに300mg
  • アモキサピン(アモキサン) 25-75mg、150まれに300mg
  • イミプラミン(トフラニール、イミドール) 30-70mg、200まれに300mg
  • クロミプラミン(アナフラニール) 50mg、225mg
  • ノルトリプチリン(ノリトレン) 10-25mg、150mg
  • ドスレピン(プロチアデン) 75-150mg
  • トリミプラミン(スンモンチール) 50-100mg、200まれに300mg
  • ロフェプラミン(アンプリット) 10-25mg、150mg

四環系抗うつ薬

  • セチプチリン(テシプール)  3mg、6mg
  • マプロチリン(ルジオミール) 30-75mg
  • ミアンセリン(テトラミド) 30mg、60mg

Nassa

  • ミルタザピン(レメロン、リフレックス) 15mg、45mg


 うつ病に対する薬物治療は抗うつ薬間に有効性の優劣がないため、忍容性を考慮して選択することになります。しかし、推奨されている薬を使っても、改善の見られる人は50%、寛解する人は30%と低く、効果の見られない方はたくさんおられます。うつ病治療では診断を誤っていないか、特に双極性障害との鑑別も忍容性の面から非常に重要になります。

 今日は薬物治療について書きましたが、重症うつ病に対しては、修正型電気けいれん療法(ECT)、反復経頭蓋磁気刺激療法(rTMS)などの効果も報告され、軽症うつ病に対してガイドラインは、心理教育、支持的心理療法、認知行動療法などのカウンセリングとの併用を推奨しています。睡眠や不安など、うつ病と併存する問題に対する治療からできることもあります。

 薬物治療の知見は日々更新されていきますので、また書き加えます。


文献


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