うつ病のサブタイプとは?症状の特徴と推奨される薬物療法・カウンセリング・認知行動療法
うつ病の有病率は精神疾患の中でも高く、誰もが生涯の間に悩まされる可能性があるものです。うつ病の罹患率は女性が男性より2倍多く、一方で自死は男性が女性の2倍多いなど、症状の現れ方には性別や年齢などで特徴があることが知られています
うつ病の分類はこれまで軽度から重度など症状の重症度での分類、大うつ病、小うつ病、気分変調症などの当てはまる症状の数・エピソードの周期による分類などがありました。うつ病の診療ガイドライン2025からは症状の特徴によるサブタイプの分類が行われています。サブタイプは以下のようになっています
- 不安性の苦痛を伴ううつ病
- 混合性の特徴を伴ううつ病
- メランコリアの特徴を伴ううつ病
- 非定型の特徴を伴ううつ病
- 精神病性の特徴を伴ううつ病
- カタトニアを伴ううつ病
- 季節性のパターンを伴ううつ病
- 不眠症状を伴ううつ病
ここからはそれぞれのサブタイプの特徴と推奨される治療法についてガイドラインを基にまとめてみます。このガイドラインはネットで誰でも読めますので、詳しくはご自身でご確認ください
文献
うつ病の診療ガイドライン2025 日本うつ病学会
Table of Contents
うつ病のサブタイプ
不安性の苦痛を伴ううつ病
抑うつエピソードまたは持続性抑うつ症の大半の日に以下の症状のうち、少なくとも2つ以上が存在する状態
- 張り詰めた、または緊張した感覚
- 異常に落ち着かないという感覚
- 心配のための集中困難
- なにか恐ろしいことが起こるかもしれないという恐怖
- 自分をコントロールできなくなるかもしれないという感覚
- 不安性の苦痛を伴ううつ病は、慢性的に経過し、寛かいまでの期間が長く、機能低下が高度であるが、不安症群の併存の有無は治療結果と関連がなかった
- 不安性の苦痛を伴うことと、不安症群を併存しているかどうかはわけて考える必要がある
推奨される治療法
- 新規抗うつ薬(SSRI,SNRIなど)の使用が推奨。反応が乏しい場合は補助療法としてプレクスピプラゾール(レキサルティ)
混合性の特徴を伴ううつ病
3項目以上の典型的な躁・軽躁症状(睡眠欲求の減少、異常かつ持続的に亢進した目標指向性の活動または活力の存在、など)を抑うつエピソードの大半の日に満たすこと(易怒性、注意散漫・精神運動性焦燥は除外されている)
推奨される治療法
- ルラシドン(ラツーダ)を選択肢のひとつとする
メランコリアの特徴を伴ううつ病
現在の抑うつエピソードの最も重度の期間に、
- 全ての、またはほとんどすべての活動における喜びの喪失
- 普段快適である刺激に対する反応の消失
のいずれかが存在し、さらに
- はっきり他と区別できる性質の抑うつ気分があり、深い落胆、絶望、および/または陰鬱さ、または空虚感によって特徴づけられる
- 抑うつは決まって朝に悪化する
- 早朝覚醒(通常起床のより少なくとも2時間早い)
- 著しい精神運動興奮または制止
- 優位の食欲不振または体重減少
- 過度または不適切な罪悪感
のうち3つ以上が存在するもの
- メランコリアは抑うつ症状が重傷で自殺リスクが高く注意を要する
推奨される治療法
- TCA(三環系抗うつ薬)を含めた抗うつ薬と修正型電気けいれん療法(ECT)が選択肢となる
非定型の特徴を伴ううつ病
大半の日にA項目とB項目のうち2つ以上が優勢で、C項目を満たさない場合
A項目
- 気分の反応性(現実のまたは可能性のある楽しい出来事に対して気分が明るくなる)
B項目
- 優位な体重増加または食欲増加
- 過眠
- 鉛様の麻痺(手足の重い、鉛のような感覚)
- 長期間に渡り対人関係上の拒絶に過敏
C項目
- 同一エピソードの間にメランコリアの特徴を伴う、またはカタトニアを伴う
推奨される治療法
- 新規抗うつ薬(SSRI,SNRIなど)
精神病性の特徴を伴ううつ病
1.気分に一致する精神病性の特徴
妄想幻覚の内容が個人の不全感、罪悪感、病気、死、虚無感、報いとしての処罰など、抑うつ性の主題と合致している。罪業妄想、虚無妄想、心気妄想、貧困妄想など
2.気分に一致しない精神病性の特徴
妄想や幻覚の内容が抑うつ性の主題から離れる。被害妄想、思考吹入、思考伝播および支配妄想など
推奨される治療法
- 急性期は抗うつ薬と抗精神病薬の併用を弱く推奨する。維持期では併用は行わない。高齢者や重症例ではECTを考慮する。
カタトニアを伴ううつ病
精神運動性の障害、意識は鮮明であるにもかかわらず、精神運動活動が停止したいわゆる混迷のような運動活動性の低下から、常同症や外的刺激の影響によらない興奮などの運動活動性の亢進まで幅広い。無動(カタレプシーや昏迷)、意味のない過活動、拒絶症、無言症、奇異な行動、反響言語、反響動作など
推奨される治療法
- BZD(ベンゾジアゼピン系薬剤)による補助療法、ECTを提案する
季節性のパターンを伴ううつ病
1年のうち特定の時期に出現し、完全寛かい後も1年のうち特定の時期に再発する。最近2年間に時間的な規則性の関係を示す抑うつエピソードが2回起こっており、同じ期間内に非季節性抑うつエピソードが起きていないこと。さらに生涯にわたって、非季節性抑うつエピソードの発現を大幅に上回らなければならない。典型的なものは冬季うつ病。秋から冬にかけて抑うつエピソードを発症し、春に完全寛かいする
推奨される治療法
- 新規抗うつ薬と高照度光療法を提案する
不眠症状を伴ううつ病
- 不眠はうつ病の8-9割に見られる
- 残遺症状としての不眠は再発のリスクを高める
- 抑うつエピソード発現に先行して生じることが多く、うつ病の発症や再燃のリスク因子である
推奨される治療法
- 抗うつ薬と睡眠薬の併用を行うが、短期使用が望ましい。クエチアピン(セロクエル)とトラゾドン(レスリン、デジレル)も選択肢となる
うつ病のサブタイプとカウンセリング・認知行動療法
ガイドラインでは、うつ病のサブタイプとカウンセリングの方法の組み合わせについては詳細に検討されてないのですが、軽度から重度の全症状において、児童・思春期から老年期の全年代において、初期から維持期までの全治療期間において、カウンセリング・認知行動療法を付加することが推奨されています。
- カウンセリングを行うことは反応率や寛かい率を増加し、抑うつ症状の軽減が得られ、一方で治療脱落率は増加せず、有益性を有害性が上回っている
- カウンセリングを実施しないことは、実施していれば改善した可能性を失うこととなり、不利益となる
- 軽度うつ病の場合はまずカウンセリング(支持的から構造的まですべての方法)を行うことが推奨される
- 中等度/重度の場合は構造化されたカウンセリング(認知行動療法など)が推奨される
- 中等度以上のうつ病の場合、薬物治療とカウンセリングを併用する方が単独で行うよりも有効である
- 児童・思春期の場合はまずカウンセリングや家族心理教育、環境調整を行い、そのうえで必要な場合に薬物治療を行うことが推奨される
- 老年期の場合は軽度から中等度までカウンセリングが有効である
うつ病は一度寛かいした後もその後の再発率の高さが問題となる精神疾患です。そして再発予防に対してカウンセリング・認知行動療法が有効です。社会人になると休職・復職を繰り返すことの経済的損失は重大なものになります。最初のエピソードの間にカウンセリング・認知行動療法を受けて再発予防に取り組むことにはメリットが大きいと思います
TRACE高宮のカウンセラーは精神科/心療内科でも勤務経験があり、認知行動療法の資格ももっています。通院中の方の相談も受付けていますので、ぜひご相談に来られてください。「無料メール相談」で先に相談されてみてもいいです。1営業日以内にお返事しています。
