パーソンセンタードセラピーの体験喚起的技法

紀要を1本読んだ

今日読んだのは、「PCTにおけるreflectionの体験的な機能(中田行重,2015)」

この論文は、パーソンセンタードセラピーのriceという人が1974年に書いた論文を要約して、Emotion focused therapy の体験喚起的reflectionについて論じたもの

読んでみて線を引いたところを書き残してみる

Rogersは、「クライエントは経験を自己概念のフィルターを通して知覚している」と述べ、経験と自己概念の不一致は、経験の知覚の歪みあるいは否認であると考えた

クライエントセンタードセラピーの治療操作、変化のメカニズムを理解するための理論ベースは「情報処理モデル」である

セラピーの標的となるものは、状況の見方に影響を与えているひとまとまりの認知スキーマである

セラピーでの課題は、不十分な認知処理しか受けていない体験群の中の重要な体験を、歪みの少ない方法でクライエントが再体験する方法を見つけること

人は日々新たな体験に触れているのに、人が変化しないのはいくつかの理由がある

1つ目はスキーマがフィルターとして体験の中から選択的に情報を取り込んでいる

2つめは不安や嫌悪感が起こることでその状況を歪めて認知しやすいため

セラピストから新しいスキーマ(洞察)を与えられても、それが例え論理的に正しくても、光景や音、感覚を再体験することのインパクトにはかなわない

古い体験が再体験されることで、インパクトをもった新しい体験に変わる

クライエントの認知と矛盾している経験に焦点をあてることがセラピーの狙いではない

矛盾に焦点をあてると、クライエントは防衛的になり、セラピストもクライエントも考えが抽象的になり、経験自体に注意が向かなくなる

体験喚起的reflectionは、体験内容は指示的ではないが、プロセスという点では指示的である

体験喚起的reflectionは、単一の出来事に焦点をあて、それがどういうものか、出来るだけ具体的につかもうとする。パターンの類似性に目をつけようとしたり、解釈的な応答を選択するのとは反対に、単一の体験を探索することで、再処理は最も効果的になされる

以上

途中で例が挙げられてたけど、体験喚起的な技法は、想起されるストーリーの「どの瞬間」に注意を向けるかにかかっているみたいだ

例えば、「いすを立って座る」という短い動作でも、「立ち上がる前、お尻が離れた、膝が伸びている、脚が伸び切った、膝を曲げ始めた、脚を曲げている、お尻が付いた」、くらいに分ける

感情や自動思考をとるのとは違って、その場の光景や感覚の想起を促すのかな

経験の意味づけをトップダウンに変化させるよりも、再体験を通してボトムアップに変化させる感じかなと思う

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