借りた本の2冊目
この本も前々から気になっていた
初心者の行き詰まったケースに対してベテランがスーパービジョンをするという設定
中でも認知行動療法の田中恒彦先生のところが読みたかった
田中先生のケース発表は学会で何度か拝見したことがある
どの発表も最後にセッションごとのデータの変化をグラフで示されていた
介入と結果の関連がきれいに示されていてもう圧巻だった
あれを最初に見たのが3年くらい前で、それからわたしも毎セッションスケールをとり始めた
3章のパニック障害の事例で、田中先生がイメージエクスポージャーのロールプレイをされていた
わたしはイメージエクスポージャーというのをしたことがないと思うので、勉強になったところを書いてみる
- 臨場感を高めるための操作を積極的に行う
- 目の前に見える景色、人の表情など、場面を話してもらい視覚的に体験する
- におい、温度なども想起させる
- 不安階層表の得点は絶対的なものではなく、全体を100にした相対的なもの
- クライエントは自分にとっての100が何であるかわかっていないことが多く、後になって相対的に得点が変わることがある
- 不安階層表に沿うよりも、条件反応の出現を確認して進めることが大事
- 身体の反応を体験することが重要
- 不安が下がって落ち着くプロセスよりも、じぶんがここまで不安になれたという体験をすることが大切
7章の杉山崇先生のところもおもしろかった
- CBTとはテキトー(適当)な生き方を人々に進めること
- 「現実を正しく受け止めつつ(現実検討)、日々の課題や問題への適当な対処(問題解決・軽減)を生きる人」というCBT独自の物語をクライエントに提供するもの
- クライエントにはCBTが描く物語を受容して共感してもらう必要がある
- クライエントという物語よりもCBTという物語を優先してしまうことがある
- 厚労省のマニュアルでは良好な治療関係が重要と書かれてはいるが、共同経験主義やソクラテス式質問法などの誘導するプロセスが重視されており、CBTという物語にクライエントを導く姿勢が強い
杉山先生自身はCBTに批判的というわけではないみたいで、クライエントの世界をおろそかにしないためとして、久保田亮の心理療法の3ステップスというのを紹介されていた
久保田亮の3stepsモデル
0.クライエントという物語を受け入れて、その物語に参加する仲間になる
1.クライエントの現実受容(現実検討)を支持する
2.問題解決や苦悩の軽減を目指す
うまくいかないときはステップ0に戻ることが大事だよーという話だった
気になってた本が読めてよかった