第13回不安症学会大会 視聴まとめ1

不安症学会にオンラインで参加中です

全ての発表が動画で見れるので、いつもながらパラパラと視聴して最新の知見を書き残していこうと思います

共催セミナー

全般性の社交不安症の診断と治療

  • LSAS60点以上が全般性社交不安症です
  • 社交不安症のプロトタイプは幼少時の行動抑制です
  • 社交不安症(SAD)の未治療期間は平均14年。強迫症の8年、パニック症の1年より長いです
  • SADによるうつ病は休職すると良くなるが復職すると悪くなります
  • SADを探るには、「後輩にも遠慮し過ぎていませんか?」と聞くと良いです
  • SADはパフォーマンスとインタラクションの障害にわかれます
  • 治療による寛解率36%です。不安症の中では最も回復しにくいです
  • SSRIは偏桃体にはすぐ効くが、前頭前野に効くまでに長期間かかります

 「全般性社交不安症」って何か?と思ったら、症状が広範なものを言うみたいです。自然に治ることも少なく、治療に来ることも少なく、そして治療しても寛解率36%って、何とも言えないなあと考えてました

うつ病治療の最新の話題 ~トリンテリックスへの期待~

  • 小児期虐待経験は、現在の神経症的特質を介して、うつ症状に影響します
  • 虐待経験の中ではネグレクトがうつ病に影響します
  • 虐待経験はいじめ経験を、いじめ経験は神経症的特質を、神経症的特質はうつ症状を促進します

  • うつ症状がなくなったあとも認知機能障害(聴覚性言語機能)は残ります
  • 認知機能は3年経つと改善します
  • ベンゾジアゼピン系抗不安薬、睡眠薬、抗コリン作用のある薬剤(三環系、四環系抗うつ薬)は全て認知機能を抑制させます
  • vortioxetine(トリンテリックス)は認知機能を改善させます
  • ボルチオキセチンは悪心以外ほとんど副作用もありません
  • 認知機能障害にはプラセボも良く効きます。少量から始めて精神療法を活用するのが良いです

 うつ病の方、集中できないとか考えがまとまらないとかよく見られるのですが、副作用によるものも多々あるのでお薬を見直してもらうのが良いみたいです。

現在、これからの臨床で診る不安や強迫~うつ病との関連を含めて~

  • APAの治療ガイドラインによる強迫症への第一選択は、曝露反応妨害法です
  • 13から20回のERPで十分な反応が得られない場合SSRIをプラスすることが推奨されています

 強迫症にCBTが効果を出せているとしても、日本の医療機関の自称CBT実施率は6%なので、病院へ行ってもCBTを受けられないという現実はどうしたらいいんでしょうかね…

双極性うつ病治療の最新動向~ルラシドンの位置づけと使用経験~

  • 抑うつ性混合状態の50%は抗うつ薬投与直後に起きます
  • 抗うつ薬の長期投与(数か月から数年)によって混合状態が生じます。不機嫌、易怒性、中途覚醒などです。
  • 気分安定薬は無効です。混合状態では抗うつ薬を中止します
  • 双極性うつ病の推奨薬。ラモトリギン、クエチアピン、オランザピン、ルラシドンに十分なエビデンスがあります
  • 抗うつ薬はプラセボと比べても効果が見られません
  • オランザピン、クエチアピンは有害事象(鎮静、体重増加)も見られます
  • ラモトリギンは有害事象も少ないが、効果発現に時間がかかります
  • ルラシドンは十分に効果があり、害も少ないです

双極性うつ病に対して、日本はリチウムが第1選択薬だけど、海外では違うみたいです

特別講演

「ICD-11にみる強迫スペクトラムの現在とこれから」

  • SSRIへの増強療法 リスペリドンとアリピプラゾールです

基調講演

「不安・抑うつにおける侵入思考 -不安・抑うつ発作を考える-」

侵入思考

  • 強迫観念 obsession 強迫症
  • 憂慮 worry 全般性不安症
  • 反芻思考 rumination うつ病
  • シロシビン。2回の投与で3か月間うつ症状が低下していました

 シロシビンというのはマジックマッシュルームの成分を抽出したものです。特徴は、向精神薬のように毎日飲む必要がない事と、依存性がないことです。ネットを見ているとシロシビンはセラピーとの併用が推奨されているらしいので、カウンセリングを進みやすくするためにシロシビンを使用する、という方向にも行くかもしれんなと考えてました

教育講演

回復された児童期のトラウマ記憶とPTSDからの回復 複雑性PTSDの診断と臨床

  • 複雑性PTSDは、通常のPTSD症状に加えて自己組織化の障害、感情ならびに対人関係の障害を特徴とします
  • 60%の人が何らかのトラウマ体験をしています
  • PTSDの有病率は1.3%。パニック障害の1%より多いです
  • PTSDと複雑性PTSDは出来事ではわけられません。1回限りの体験から複雑性PTSDが生じることもあります
  • とわいえ複雑性PTSDの中核的モデルは児童虐待です

STAIR/NST

対人関係スキーマ

  1. ある状況で、
  2. 自分に何を感じたのか(感情/思考)、
  3. 他者に何を予測したのか(他者の感情/他者の思考)、
  4. 結果としてどんな行動をとったのか、を書きます

代替スキーマの提案

  1. その状況での目標、
  2. 自分に対する代替的信念と感情、
  3. 他者に対する代替的信念と感情、
  4. 結果としての行動、を書きます

 STAIR/NSTというのが複雑性PTSDに効果が示されてきている心理療法です。第1段階はトラウマの治療ではないのですが、その部分でもずいぶん良くなるそうです。自分の感じている感情の名前を知らないことがあるので、それを最初に学習するそうです。未分化で、感情=危険 となっている所を、危険な感情とそうでない感情に弁別して、それから感情は危険でない、と学習していってるのかなと考えてました。対人関係スキーマの部分は行動実験と似ているように思うのだけど、「感情に注意を向ける」と言う手続きが入ってるのが特徴に思います。そして目標を検討してから、とるべき思考と行動を検討しています

神経発達症に関する最新の知見〜神経生物学的視点から〜

  • 子ども虐待は、抗不安薬の使用を2.1倍に、抗うつ薬の使用を2.9倍に、向精神薬の使用を10.3倍に、気分安定剤の使用を17.3倍にします
  • 虐待は20年寿命を縮めます

 「脱抑制性対人交流障害」という用語が始めて聞いたのですが、初対面の大人にも警戒心なく近づき、過剰になれなれしい言葉や態度で接する、などの愛着行動を抑制できないことを意味して、誰に対しても愛着を示さない「反応性愛着障害」とは対照的な症状だそうです


続きはまた次回書きます

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です