認知療法学会にオンラインで参加中です
今年はうつ病学会と共催ということで、届いたプログラム集が2倍分厚いです
さらにほとんど全ての発表がアーカイブで見れると言うすごいことになってます
暇があれば倍速で見てるのですが、見終わる気配がありません笑
いつもながら有益情報を書いておきます
Table of Contents
MD/CT合同企画会長講演
困難の先にある未来のために
- 人口の2,3割の人がうつや不安のカットオフ値を超えます
- 自殺念慮は15%の人に見られます
- 薬物治療や認知療法を取り入れ1年以上かけても、うつ病の寛解率は67%です
- 双極性障害と診断されるまで平均4年かかります
- 難治性うつ病を検査すると、63.3%の人にパーソナリティ障害の併存がつきました
- 双極症の併存は36%、不安症46%、ASD15%、ADHD24%です
- クラスターC(回避性、依存性、強迫性)があると寛解しにくく再発しやすくなります
難治性うつ病といえば双極性障害の誤診や発達障がいの併存というのがよく聞く話ですが、回避性パーソナリティ障害の併存が多いそうです
マインドフルネス
- 一次的な苦痛を嫌悪することで二次的苦痛が生じます
- 不快な感覚を嫌悪せずに優しい好奇心を向けます
MD/CT合同招待講演
うつ病に対するリモート対話実践プログラムの有効性について
- オープンダイアログは1984年に生まれました
オープンダイアログ後2年間の予後調査
- 抗精神病薬の使用 ODAP35% 伝統的治療100%
- 精神症状の残遺率 ODAP18% 伝統的治療50%
- 再発率 ODAP24% 伝統的治療71%
- 障害者手当受給率 ODAP23% 伝統的治療57%
1992-2015 後ろ向きコホート研究
急性期にオープンダイアログで治療をした患者65名の長期経過
- 抗精神病薬投与 55%
- 2015年投与中 31%
- 入院回数0-1回 54%
- 治療終結 62%
- 治療継続中 18%
- 発症時に抗精神病薬を投与された群は入院率が高く、治療期間も長かったです
- オープンダイアログを受けても半分以上の人は薬を使っています
最近聞かなくなったオープンダイアログですが、有名なデータです。始めて見ました。新しい方法とおもいきや、35年前から行われてます。日本とフィンランドは治療環境が違うので比較してもしょうがないのですが、長期間かけて薬物治療と比較したところは非常に貴重です。薬の使用率と再発率の低さが驚異的です。日本では統合失調症で薬物治療をしないという選択肢はありませんが、薬物で治療を始めるとその後も続ける他なかったと言う追跡結果です。
MD/CT合同企画シンポジウム
「リカバリーを目指した双極性障害の心理社会的介入を考える」
- 双極性障害に最も推奨される治療は心理教育と薬物治療の併用です
- CBTI-BP 起床時間を一定にしていくような方法
CBTi-BPという睡眠障害のCBTを紹介されてました。双極性障害の睡眠障害に特化したCBTなのかな?双極性障害になると、どんな状態が良い状態なのか自分で判断出来なくなるので、心理教育を受けて学習するのがセルフコントロールにいいのだと思います
「難治性うつ病への最新の治療アプローチとは」
- 10年の間にうつ病患者の19.6%が双極性障害の診断になっています
- 難治性うつ病の通常治療に認知行動療法を上乗せすると、16週後に42%の人が寛解しています(通常治療20%)
- 反対に言うと、58%の人は寛解に達しません
- 回避性パーソナリティ障害を合併すると治療抵抗性を示します
- 神経症傾向、自己批判、反芻思考があると治療抵抗性を示します
rTMSの治療成績
- 6週間で28名の内21名が寛解し、有害事象はありませんでした
- 保険適用は6週までです
- rTMSをメンテナンスで受けると再発を維持できます
ECT
- 薬物治療よりも効果発現が早いです
- 自殺念慮を減らします
- ECTで寛解したうつ病患者の51%は12か月以内に再燃していました
- 認知機能への有害事象が見られます
- CBTの併用は、薬物治療、ECT維持療法に比べて寛解維持に優れています
ケタミン
- 投与1日で効果が出ます
どれも劇的によくなるけど、残念ながら高い割合で再発するみたいです。併用療法の研究結果は興味深いです。
「薬物療法が有効な群と精神療法が有効な群との違い」
- うつ病への短期力動的精神療法はCBTとの非劣勢が示され、ガイドラインでも推奨されています
- 症状が重症な者、不安症の合併がない者、慢性的でない者に効果的です
抗うつ薬とCBTの抑うつ下位症状への効果
- 自責感、希死念慮、精神的不安、一般身体症状は抗うつ薬でより改善し、4症状が改善することで抑うつ気分は間接的に改善しました
- 不眠、自責感、集中力低下、気力低下の4症状がインターネットによる介入で改善し、4症状が改善すると抑うつ気分、興味低下、希死念慮は間接的に改善しました
- SSRIは気分に強力な効果を及ぼし、認知症状へは間接的に効果を示しました
- 精神性不安が改善した時のみ焦燥や身体的不安が改善しました
下位症状間の作用関係を構造方程式モデリングで検証されてました。肝心のCBTの作用機序が見当たらなかったので、誰か研究して欲しい所です。他の心理療法も気になりますね
毎度ながらデータがたくさんでおもしろいですね。学会に参加するメリットは、自分で調べると膨大な時間がかかる情報を、きれいにまとめて得られるところですね。続きはまた次回書きます。