メモ書きした情報を書き残していきます
Table of Contents
MD海外招待講演
「CANMAT/ISBD Guidelines for Treatment of Mixed States CANMAT/ISBD ガイドライン:混合状態の治療について」
- 躁、軽躁、抑うつ症状は異なる症状です
混合性の特徴を伴う躁病治療のエビデンス
- 第1選択 なし
- 第2選択 アセナピン、cariprazine、バルプロ酸、アリピプラゾール
- アセナピン 躁症状、うつ症状に効果があります
- Cariprazine、バルプロ酸 うつ症状の効果があります
- アリピプラゾール 躁症状に効果があります
混合性の特徴を伴う抑うつ治療のエビデンス
- 第1選択 なし
- 第2選択 cariprazine、ルラシドン
- Cariprazine、ルラシドン うつ症状に効果があります
- うつ病、双極Ⅱ型障害へのziprasidone うつ症状に効果があり、躁症状には効果がありませんでした
混合エピソード治療のエビデンス
- 第1選択 アセナピン、アリピプラゾール
- アセナピン 躁症状、うつ症状に効果がありました
- アリピプラゾール 躁症状に効果がありました
- オランザピン増強療法 躁症状、うつ症状に効果がありました
混合性の特徴を伴う気分エピソードへの維持療法
- 第1選択 なし
- 第2選択 なし
混合性エピソードにおける維持療法
- 第1選択 クエチアピン、クエチアピン増強療法
- 第2選択 リチウム、オランザピン
- 気分安定薬+クエチアピン うつ、躁、混合エピソードの再発を抑えました
英語の講演でした。日本語字幕が付いていたのだけど、訳がわかりづらい…白文字で字も小さくてただただ読みにくい。抑うつという用語だけでも多様に使われるので、正確な情報は自分で本を買うしかないです。そういえば大阪ナオミさんも最初うつ病と言われてたけどうつ病じゃないみたいですし。世界的には混合状態には抗精神病薬を使用するようになってきてるみたいです。
MD教育講演
リチウムと私
- 3週間以上三環系抗うつ薬を投与しても改善しない単極性うつ病に、2日間だけリチウムを追加すると劇的に改善しました
- リチウムには抗自殺作用が期待されています
短期間の投与という方法が特徴的です。リチウムは、中毒を恐れて精神科医でも消極的になるそうです。TRACE高宮に相談に来られる方も、子どもに出すくらいの量しか薬を出されてない人を見ますが、十分量投与するってのは難しいのでしょうね。
MD大会企画シンポジウム
「うつ病の認知機能障害と臨床」
- 認知機能とは、脳内に取り込んだ情報を、照合、処理、判断し表出する過程を言います
- うつ病が寛解した後も認知機能障害は残存します
- うつ病患者では社会的認知の機能低下が認められます
- 寛解後に記憶障害が残存すると再発のリスクが2.52倍になります
- 認知機能は1-2年で健常者レベルまで回復する可能性があります
- 社会認知は、顔の識別、表情認知、共感性、道徳倫理観などです
- 脅威語に対して、双極性障害、うつ病患者は健常者よりも過剰に脳が反応します
- 幸福語に対して、双極性障害はあまり脳が反応せず、うつ病患者は健常者と同じ程度反応をします
最後の所が心理学実験なのですが、幸福語に対しての結果は、双極性障害では幸せを感じにくくなるということなのかな。
「依存とうつ病:合併の実態・背景と治療」
アルコール使用障害
- 飲酒量低減が目的の場合、治療薬としてナルメフェンを考慮します
- 飲酒量のモニタリングなどの心理行動療法の併用が重要です
- うつ病患者のアルコール依存症合併率は、12か月で14%、生涯では40%です
- AUDIT10点は、毎日日本酒2合程度です
- アルコール使用障害患者の20.5%に、過去12か月でのうつ病を認めました
- 週当たりの飲酒量を比べると、非飲酒者と大量飲酒者で自殺のリスクが高まります
- 非飲酒者は、もともと飲酒をしていたが止めた者です
- 自殺既遂例の直前の飲酒は平均37%、自殺企図例では40%です
- アルコールの不適切な使用による社会損失は4兆円、アルコール起因疾患の医療費は1兆円で、総医療費の3%を占めます
- 患者一人当たり85万円の医療費がかかっています
- 節酒指導を実施すると、コスト1億円で年間42億円の医療費削減につながります
大量飲酒者と非飲酒者でU字に自殺のリスクが高まる所のデータが興味深いです。依存している人がお酒をぱったりやめるのも危険みたいです。自殺者の4割が直前にお酒を飲んでいます。お酒を飲むと死ぬことへの怖さが薄らいで実行してしまうということです。
ギャンブル障害
- ギャンブルとは、より価値のあるものを求めて価値のあるものを危険にさらすことを意味します
- パチンコの市場規模は21兆円、オンラインゲームは1兆円です
- 電子ゲーム機(パチンコスロット)の台数は、日本は450万台です
- 日本以外で100万台を超える国はありません
ギャンブル障害尺度
- SOGS
- PGSI
ギャンブル依存に見られる認知の偏り
- 自分にはギャンブルで勝つ能力がある
- ある行動や儀式が勝つ確率を増やす
- 負けが続いてると勝ちが近いと解釈する
- 選択的に勝ったことを思い出す
- 主観的に意味のある手掛かりに基づいて決定する
- ギャンブルの結果をコントロールできると信じる
- 「ギャンブル障害の標準的治療プログラム」は、日本アルコール関連問題学会にメールをすると無料でもらえます
子どものネット依存
- うつ病の初発年齢は中高生にピークがあります
- ネット依存度が高い群では、あらゆる面で精神的健康度が悪くなります
- ネット依存度が高いと有意に睡眠時間が短くなります
子どものネット依存/ゲーム障害の評価尺度
- 児童青年睡眠チェックリスト CASC
- 現代うつ気質評価尺度 TACS-22
- ネット依存度テスト IAT
- 健康調査票思春期版 PHQ-A
- ゲーム障害テスト IGDT-10
性的アディクション
- 性的アディクションには、パラフィリア障害群、強迫的性行動症、性犯罪が含まれます
- 薬物治療には、高アンドロゲン薬、抗うつ薬があります
- 心理療法の治療要素にリラプスプリベンションがあります
- 性犯罪再犯リスク尺度 Static-99
リラプスプリベンションモデルに基づいた認知行動療法
- 引き金の同定
- 引き金への対処
- 週1回24週間、60分、集団形式
- 重複障害が多い場合、初発年齢が早い場合にリラプス(再発)の割合が高まりました
- うつ病の併存が多いとリラプスが高まりました
- コーピングスキルは改善の強力な予測因子になります
ターゲット行動を決め、機能分析を行い、その始まるきっかけの地点で気づき、別の拮抗する行動をとる。反芻焦点化CBTと似てるように思います。
うつ病のニューロモジュレーション-ことはじめ-
精神疾患に使われた身体療法
- マラリア発熱療法
- インスリンショック療法
- 水治療法
- カタトニア(緊張病状態) 薬物治療の効果乏しくECTが第一選択です
ECTの適応
- 単極性双極性の重症うつ病エピソード
- 気分障害統合失調症の緊張病状態
- 統合失調症、双極性障害の急性精神病エピソード、躁状態
- 重症強迫性障害、疼痛性障害も適応
- レビー小体型認知症に対しても施行されています
- ECTによって平均在院日数を90日から30日に短縮できることが期待されています
- 急性期にECTを施行した場合1年後の寛解維持率は56%でした
- リチウムと併用療法がなされると再発率は40%程度に収まりました
rTMS
- 精神病症状、緊張病症状へは推奨されません
ECT、疼痛や認知症にも適応されてきてるそうです。あらゆる治療法が効果がない場合に消極的に使われる印象なのですが、有害事象というよりも昔のロボトミーとかの外科的方法のイメージの悪さが影響しているみたいです。
うつ病の栄養学的問題と治療的役割
テアニン
- 地中海食はうつ病のリスクを下げます
- うつ病患者は緑茶やコーヒーを飲む量が少ないです
- 緑茶成分(テアニン)を投与したマウスはよく泳ぎます
- テアニンを治療薬に上乗せして8週間経過観察すると、早期にうつ症状が軽減しました
- 不安、睡眠症状にも効果がありました
テアニン、疫学研究でなく臨床研究、予防でなく治療効果が示された所が画期的です。これを見てうちも水を止めて緑茶を飲み始めました。1日4,5杯が目安だそうです。
糖尿病
- 糖尿病がある人には2倍うつ病患者が多いです
- 糖尿病患者の38%が抑うつ状態にありました
- 糖尿病のQOL低下に伴う2次的な抑うつではありませんでした
オメガ酸
- 魚食(オメガ酸)と抑うつ症状には関連があります
- オメガ酸は授乳によってとられていきます
- オメガ酸には抗炎症作用が機序に考えられています
葉酸
- 食事調査票 BDHQ
- 葉酸と抑うつには関連があります
- 緑茶を4杯以上飲んでいる場合、1杯以下と比べて抑うつ症状が50%減少しました
- 年齢によって関連が異なります
食事バランス
- 食事バランスと抑うつ症状には関連が見られていません
- 健康型食事パターンでは有意に自殺のリスクが低下しました
- 共食頻度が少なくなると抑うつ症状が高まりました
- 朝食摂取が少ないほど抑うつ症状が高まりました
IBS
- 不安障害の人の50%がIBSを患っています
- IBSがあると不安障害のリスクが3倍を超えます
- 併存疾患の2/3では、IBSが気分障害に先行しています
トラウマインフォームドケアとその展開
- 逆境的小児期体験(ACE)
- 精神科に通院中の88%の人が、少なくとも1つのトラウマとなる出来事を体験していました
- PTSDと診断された人の78%が、生涯において少なくとも1つ他の精神疾患の基準を満たしています
- 半数がうつ病を併存しています
- 気分障害や不安障害はPTSD発症の危険因子となります
- PTSDは自殺念慮や自殺企図を6倍になります
- 自殺による死亡率は13倍になります
- PTSDを発症した人の内治療を受けた人は50%未満です
ガン患者の自殺予防
- 10代から30代の死因の1位は自殺です
- 健康問題が原因の自殺は67%です
- 総合病院の院内自殺はガン患者が48%を占めます
- 自殺者の85-98%が精神疾患に罹患しています
- がん診断1年以内の人は、自殺の危険性が24倍になります
「うつ病看護ガイドラインの目指すもの -現状と今後の課題-」
うつ病に対する家族心理教育の効果
- 4回の家族心理教育を行うと、9か月後の再発率が8%に維持されました(してないと50%)
久しぶりにこの研究のグラフを見ました。大学院の頃にこの研究を引用したことがあって、懐かしい。再発率8%ってすごいインパクトのある結果です。うつ病の人の治療では、家族の理解を得るというのをもれなくやった方がいいと言う結果です
MD自主企画シンポジウム
侵入思考と感情障害
Bipolarityの評価尺度
- Bipolarity specifier
- Bipolar spectrum disorder
反芻焦点化CBT
- If-thenプラン 反芻に入る前の先行刺激をキャッチして、別の行動をとります
MD委員会企画シンポジウム
「コロナ禍における地域の自殺予防実践活動」
- 2020年は10年振りに自殺者が750人増加しました
- 女性が885人増加しました
- 3月は自殺者が増える傾向があります
すごいたくさんになりましたが、次回もまだまだ続きます