「スーパービジョンで磨く認知行動療法 うつ病篇」を読んでいく「7期 認知再構成」

スーパービジョンで磨く認知行動療法

 今月締めきりの認知行動療法学会のポスター作ったり、来月からの新サービスの検討してたら少し空きましたが、また書いていきます

 7期からはわたし一番楽しみにしていた認知再構成のスーパービジョンです。うつ病のCBTではここがメインになって、マニュアルの全16セッションの内8セッションを認知再構成で使います

 この技法は割と臨床的に有用で、かつ汎用性が高いとわたしも思ってます。まず「思考が感情や行動に影響を与える」という説明が現実的で受け入れられやすい。なのでモニタリングに進みやすいというのがあると思う

 正確には認知再構成の機序ではないながらも、自分なりの方法を試みて良くなっていくクライエントさんがおられる

 むしろカウンセラーがガイドし過ぎて(カウンセラーが自分の頭で考えすぎて)うまくいかないということも十分にある

 「クライエントが自分で考えるのをガイドする」というのがカウンセラーの役割で、この辺りが技術の向上のしようがあるおもしろいところでもあります

 認知再構成は自分が馴染んでいることもあっていろいろ考えることがあるだろうから、思った事をそのまま書いていきたいと思います。なので、関心のある人は先に本を読んでから、この続きを読まれる方がいいと思いますよ

認知再構成

セッション10 自動思考

 セッションでは、クライエントがホームワークで書いてきた「心の仕組みシート」を検討しています

 「行動」という枠は認知再構成のコラムにはないので、心の仕組みシートはスタンダードな認知再構成のコラムとは違います

きっかけ:課長からまた仕事を押し付けられた
考え:ぜんぜんうまくいかない
感情:悲しい
行動:仕事を頼まれたことをみんなに言えない

 そしてこの後、「根拠探し」「反証」「別の見方の算出」をしています


 きっかけに書いてある「おしつけられた」は思考だけどこのままでいいのか?REBTだとこのまま扱っていいんだったと思うけれど、「状況自体はニュートラルで、状況をどう捉えるかがネガティブな気分を引き起こす」、と考えるのがベックの認知療法だったと思う

 そしてここでの反証は、その「状況に対して考える出来ない」を対象にするのでなく、「わたしは出来ない」という自分に関する信念の反証に近いことをしている

 「全然うまくいかない」に対して算出された別の見方は、「断る選択肢はなかった」になるらしいのだけど、それでいいのか?確かにコントロールの所在が変わると言えばかわるのだけど、それで気分が良くなるのか?カウンセリングをどう方向づけようとしているのかわからない。「断ることは出来ない」も「断る選択肢はない」も、自分が原因にしろ相手が原因にしろ無力感であることには変わりないと思う。

 わたしだったら断る行動に向かわせる認知を引き出したほうが展開すると思う…と思っていたら、なんかうまいことそっちに行った笑。なんかすごい展開だ。自動思考の確信度も下がってる。全体的な会話のやり取りはなんか意味があったのか?

 「最悪の結果」に対して「最高の結果」と「現実的な結果」を考えるというのを挟んだのはわかった。

 そして直近でやってるのは、「自動思考を持ち続けること」と「別の見方に変えること」のメリットデメリットの算出だけど、それで確信が下がるものなのか?そもそも問題の場面が「仕事を押し付けられた場面」であって、「仕事を押し付けられたことを思い出している場面」ではない。なので、考え続けることが問題になってるわけではないと思うのだけど。

ここであらためて読み返してやっていることを並べてみると、

  1. 自動思考の同定と確信度の評価 「全然うまくいかない 90%」
  2. 感情の同定と強さの評価 「悲しみ 80%」
  3. 自動思考の根拠探し (出てきた根拠はその時点での事) 「コミュニケーションの練習をしたのに厄介なことを押し付けられた」
  4. 反証探し (出てきた反証はその時点から離れること) 「慕ってくれている人がいる」「断ることが出来た仕事もある」
  5. 別の見方の算出 「断る選択肢はなかったのかもしれない」
  6. 起こりうる最悪の結果の同定とその問題解決 「職場がギスギスする」(問題解決は思いつかない)
  7. 最も良い結果と現実的な結果の算出 「みんな和気あいあいとして喜んで仕事をしている」「多少ギスギスしているけれど、ある程度まとまりをもって行動できている」
  8. 自動思考を持ち続けるデメリットと修正するメリット 「自信をなくす」「自信をもてる」
  9. 自動思考の問題解決 「どのような仕事があるか把握し、その振り分けを決める」
  10. 確信度の再評価 40%に下がる
  11. 悲しみの再評価 40%に下がる

 結っっ構いろいろなことをしている。そして効いている。でもどれが効いたのやら?という感じだ。1つ1つに意味があるのか?

 わたしだったらシンプルに、「全然うまくいかないとしたらどうなりますか?」と自分に起きる最悪のことと核になる評価を引き出して、反証にしぼってたたみかけると思う。

 6番の後に「ぎすぎすしていたら仕事にならないのでしょうか?」とカウンセラーが聞いてここはクライエントからスルーされてるけれど、どのくらいの状態を目指すのかを話し合うというのはありだと思った

セッション10のスーパービジョン

 スーパービジョンでは、「パターン化している考え方に名前をつけて外在化する」という方法がを知って新しい手段が増えた。カウンセリングしてると確かに、ちょっと今すぐは変え難いな…と思う思考ってあるのだけど、とりあえず違和感を持たせておいて置くというのはいいと思った

セッション11 友人アドバイス法

きっかけ:資格試験に落ちた
考え:わたしはこの先職場でうまくやれないだろう
感情:とても悲しい

 「試験のこと以外に根拠はありますか?」と聞いてから、友人アドバイス法(同じ状況になる友人にどんなアドバイスをするか?)を使っている。「自分を責めるのを止める」ために使っているみたいだけど、基の自動思考(「この先職場でうまくやれない」)を変容させてはいない様子だ。

 わたしだったらシンプルに、うまくやるということはどういうことかを具体化して、「資格試験に落ちたらそれはできなくなるのですか?」と推論の妥当性を尋ねてみるかなと思う。

 友人アドバイス法的な視点を変える方法を使うとしたら、職場の先輩で同じように資格試験に落ちた人がいないか調べる、その人は今どうなっているか調べる、とかするかな

 
 ちょっと話は変わるのだけど、友人アドバイス法には答えられるけれど、自分のことと思うとそう出来ないって人がいる。体験的な学習がたりないのだろうとしばらく友だちや自分に受容的な言葉をかける練習をしてもらうのだけど、他に方法があるのか?経験者に聞いてみたい

きっかけ:母と口論した
考え:母を傷つけてしまった
感情:落ち込む、悲しい

 「傷つけてしまった」「ひどいことをした」「わたしはひどい」が自動思考なのだけど、それに対する違う見方は「母が自分で何とか対処するしかない」なのだそう

 これでよくなるのか?!この本のセッションの展開がこれまで自分の知ってる世界と違い過ぎる。本では気持ちが楽になったらしいけれど。

 わたしだったら、「母を傷つけた」に対して「お母さんはその後どうなりましたか?」と聞いて現実的に検討してもらうとかするかな

セッション12 自己批判とべき思考

 ここまではカウンセラーがガイドして最適な方法を使ってきたけれど、このセッションではリストを用いて自動思考をボトムアップに検討している

 最初にやっているのは自分の責任と考えやすい傾向に対して「自分以外の人の責任を検討する」という方法だ。「再帰属法」になるのかな?シートに円グラフを書いて視覚的に検討するというのがインパクトがあっていい。

 そういえば先日の西川先生と若井先生の対談で、「認知再構成は再帰属法の一部だ」というようなことを言われてた。結局曖昧に次の話にいかれたのだけど、認知再構成でこまごま扱う認知が、再帰属法でがらっと変わるのだとしたら、認知再構成は再帰属法の一部なのだと言えると思う

 認知再構成は、確信していた自動思考に対して、「かならずしもそうではない」を付け足して中和することが多いと思うから、「自分の責任ではない」に収まるとしても「人の責任だ」みたいに認知が変わることは少ないのではないかと思う。その辺りは再帰属法の方がカバーできる。

セッション13 条件信念

 条件信念とは「~ならば~だ」という形をとります

 このセッションでは

「人から気に入られなければ、人はわたしを拒絶する」

という信念を扱っている。

 人の評価を気にする、という悩み事は、条件付き信念として取り出すという方法があるのか。CBTをしている人だと社交不安様の自動思考として取り出してエクスポージャーに向かうとか、評価の変容に向かう人が多いのではないかな?

 セッションはまずメリットデメリットの算出から始まり、出てきたメリットを使って条件付き信念を言い換えます

 「もし、人に気に入られるように自分の時間を犠牲にして精いっぱいの努力をしたいならば、人はわたしを拒絶するだろう」

 なかなか興味深い進め方だ

 そこからたとえ話などを入れて、何か大きな変容があって、新しい信念が出来上がります

 「まず自分のために時間を使ってから、他の人を気遣えばいい。自分には自分の時間を使う価値がある」

 …基の条件付き信念の跡形もなくなったのだけど、これでいいのか?拒絶されることへの恐れとか、どうなったんだろうか?

 ホームワークは「自分のために時間を使う」になったけれど、当初の問題場面と関係ないので、良くなったのか評価出来ないように思うのだけど、こんな感じなのだろうか?

セッション14 中核信念

 「中核信念」とは、子どもの頃に無意識に作り上げられた信念です。自分でそれに気づくことはなく、それに反論することもなく「そうだ」と自然に思っている考えです

 このセッションでの中核信念は「私は人に好かれない」で、「わたしは人に好かれている」の証拠を探すところから始まります。これは本当にそうで、好かれてないことに敏感な人には、好かれている証拠を探すなんて行動は学習されてない。

 わたしはあまり信念とか問題にしたことはないので、自動思考の認知再構成辺りでは基の自動思考の変容をガイドしている。中核信念になってくると、対立する信念の確信を強めて、他の言葉も使ってシェアを広げていく、ようなことをしていくのだと思う。

 これはもう未学習の問題なので、どうしてもある程度の期間とセッション数がいると思います

 伊藤絵美先生のスキーマセラピーも「ハッピースキーマ」を育成するとかしていた

セッション14のスーパービジョン

 「スキーマは鋳型で、中核信念は鋳型から作られた信念」です

 ジュディスベックは中核信念の主なものに「わたしは愛されていない」「わたしは劣っている」「わたしは価値がない」をあげています

 いろいろ書いてたら長くなった。念願だったスタンダードなコラム法のスーパービジョンは見れなかったけれど、かなり勉強になった!いい本だと思います

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