認知療法学会参加のため岡山へ行ってきた
認知療法学会はここ3年程参加している
海外の最新の研究の紹介とか、プログラムベースドな効果研究とかが多くて、参加していて一番おもしろい学会だと思う
参加費が年々高騰してきているのがたまにきず…
今年は職場のメンバーで乗り合わせて一緒に行く予定を組んでいたので、半分旅行気分だ(というかほとんど笑)
初日は8時半開始で、早起きして出発すると3時発とかになってしまう
それで前日仕事が終わってから出発することにした
一人だと疲れるまで運転するけど、旅行なのでサービスエリアの度に寄ってみたりして、これが楽しい!
下松のバリそば、宮島のカキフライ、もみじ饅頭、福山は後輩君おすすめのせんじ肉を買った
夜中に岡山について、ビールを1本だけ飲んで早く寝た
参加したシンポジウムについて書いてみる
初日はスーパービジョンのシンポジウムに参加した
スーパーバイザーとコンサルタントの違いを説明されていた
スーパーバイザーは自分の所属する現場にいて、ケースに責任を負う人
コンサルタントは所属する現場にいない人で、ケースに責任は負わないらしい
日本のスーパービジョンはほとんど全てコンサルティングになる
CBTを進める上で、うつの人と不安の人の違いについても説明されてた
不安の人は自身の不安の過剰さを認識できる、うつの人は悲観性の過剰さを認識しにくい、なのでうつの方がセッション数がかかるということを言われていた
海外のコンサルタントから持続エクスポージャー療法のスーパービジョンを受けた先生が、開発グループのSVを受けることをお勧めしていた
ただ、通訳とかついて、1回5万かかるらしい
その先生はセッション数が20回とかなって焦ったと言われた
正規のトレーニングを受けてお墨付きをもらうことは理想だけど、年収300万の心理士には夢のまた夢の話だなーとか考えてた
複雑性悲嘆の発表では、コンパニオンシップといった、治療同盟とは違う関係性が重要になるというようなことを言われていた
複雑性悲嘆の処理は、感情や認知の喚起より視覚化が重要、一貫したストーリーで死の受容をすることが目的など話されていた
モジュールは柔軟に使用される、治療は枠組みよりも本質が重視される、など強調されていた
ルミネ―ションフォーカスドセラピーも今大会で何度か聞く機会があった
反芻があると標準的な認知療法は効きにくいらしく、ルミネ―ションフォーカスドセラピーでは、反芻の代替行動として、想起している体験を1秒ごとに追うということをするらしい
発表者たちが最後に強調されていたのは、スーパービジョンは人間関係が大事で、スーパーバイザーからきちんと褒められることが大事だといわれていた
その後は慢性痛のケーススタディを見に行った
岩佐和典さんという前々から名前は知ってたけど見たことがなかった人だったので見に行った
確か新聞で見たかな、とりあえずその道では著名な方だ
慢性痛のCBTは全8回に構造化されていて、#1目標設定、#2リラクセーション、#3-5ペーシング、#6-7認知再構成、#8終結と進む
リラクセーションから始まるのがおもしろいと思った
リラクセーションでいくらか痛みに対する統制感を得られたら、その後の反応が違うとか言われていた
ペーシングってのは活動量のペーシングで、過活動で痛みが増してるのなら減らすし、活動性が低くて痛みが増してるのなら増やす、とかをやるみたい
でも痛みは治療のターゲットにしないし、大きく変わらないとかも言われていた
活動量と痛みの関係に沿ってその後の認知再構成もなされるみたいで、「過活動につながる認知のモニタリング」とかの視点は勉強になった
コメントの先生は、活動によって改善するのでなく、活動による改善を事前にどれだけ期待できるかが改善と関連する、というようなことを言われていた
スライドでのケースフォーミュレーションの提示の仕方とか勉強になった
午後は、新世代の認知行動療法はベックの認知療法に何を足すのか、のシンポジウムを見に行った
ここでもルミネ―ションフォーカスドCBTの発表がされていた
反芻の問題が見られる場合は、ベックの認知モデルに機能分析を加えるらしい
非機能的な反芻を機能的な反芻に置き換えるために、新しい思考スタイルを身に付けてもらう
まあでも行動(思考)を置き換えるという感じで、行動療法での随伴性制御とは違う印象をもった
マインドフルネスの先生は聴衆と情報処理の実験をしながら進められていた
考え続けてしまうことは、仕事に疲れた時、1度ネットを開いてしまうと、それから次々にページを開いていってしまうのと同じことだ、というような例を挙げられていて、それがものすごく腑に落ちた
マインドフルネスの「あることモード」ってのは思考の過活動を押さえるんだ、というような説明もされていた
コンパッションフォーカスドセラピーの発表では、コンパッションってのは優しさよりも強さや力強さの意味合いがあるというようなことを言われていた
集中が切れてきたとき、前の席に若手の著名な研究者が座っていることに気づく
見ると講演を聞きながら同時にパソコンで論文を書いておられる
書いては閉じ、ファイルを開き、メールを開き、ネットを開き、アマゾンを開き、論文書きって優秀な人でも大変なんだなあとか思った
質疑ではCBTに次々と新しいものが出てくるのでどれから勉強したらいいのかと聞かれていた
確かに笑
新しいものが次々と出てきて、それぞれから正規のスーパービジョンを受けるように推奨される
余程専門に特化した臨床をしてる人は良いけど、一般精神科とかの人はどうしたらいいのか
それこそ枠組みよりも本質の習得を認定するような資格やスーパービジョンが必要なんだと思う
発表者たちはベックの認知療法から勉強するのがいいと答えられていた
初日最後は複雑性PTSDのケーススタディを見に行った
PTSDだけどうつ病の認知療法をしたらしい
コメンテーターがやたらトラウマに詳しくて、聞いてておもしろいんだけど、結局発表が最後まで終わらなかった
トラウマの専門家ってやたら細かくて、自信家で、わたしの知り合いもみんなこんな感じで、なんか似てる笑
その後わたしは発表があるのでポスター会場へ
責任時間30分なのですぐに終わったけど、学生が何人か見に来て説明を聞いてくれた
あとはお医者さんが来て、薬がたくさん出てることを指摘された
…わたしも毎年何かしら発表してるけど、だいたいいつも薬物療法への疑問を呈される…
院長の処方です!とか言ってもしょうがないし…
いろいろと思うこともあるので、近いうちに記事に書こうと思う
ということで1日終わって晴れやかな気分ー
同僚と待ち合わせをして後楽園という観光地へ
庭園?みたいなところがライトアップされてるらしい
駅から100円バスがあるけど、次まで15分待つのがもったいないのでタクシーに乗ってみる
割と混んでいて、駅を出てバス停の前に着くまでに初乗り500円が終わって笑った
後楽園に着くと夜店が並んでいる
独歩というご当地ビールを買い、牛タン串を買い、カキオコを買い、と食べ歩く
後楽園を出て岡山に戻り、同僚はお酒を飲まないのでイオンタウンへ食事に行く
岡山に来てイオンタウンで食事って笑
何を食べたかというと徳島ラーメン東大
岡山に来て徳島ラーメンって笑笑
まあこれは当初から目的だったのでいいんだけど
もう一人の同僚はうどん食べてた
岡山に来てフードコートのうどんって笑笑笑
「倉敷うどんです」とか何とか言い返された
割と早く解散して、わたしは友人と合流して飲みに出かける
よそで飲んできたみたいで絡んでくる友人
「お酒はたしなみながら飲むのがいいんだ」とかなんとか大人の対応を見せながら一緒に飲む
川沿いの窓際の席で、岡山の夜の街を歩く人を眺めていた
岡山、地酒が結構ある
多賀治って日本酒が佐賀県の鍋島に似たガス感の強さでおいしかった!
買えるかネットでみたけど、流通してないみたい
岡山に行ったら探してみて欲しい、おすすめです
2日目はスライド発表を見に行った
認知行動療法の算定状況の発表があって、全く普及してないという結果だった
医師も看護師も自分たちの業務があるからね…
公認心理師で取れないと普及しないと思う
まあでも看護師で350点なので、心理師でもそのくらいとして、マニュアルに沿ってするなら1セッション50分だろうから、病院心理師がカウンセリングで稼ぎ出せる利益は、1時間3500円ってことになるのかな
でも通院精神療法と重ねてとれるのかな?
とれないとしたら…ちょっとこれからも普及していかないと思う
その後は京都CBTセンター西川先生の強迫症の親御さんのケース発表
この3日間で一番おもしろかった!
発表時間10分しかないのに、なんでこんなにおもしろくできるんだ!
いろいろ気になることもあったので、機会があったら聞いてみよう
その後は堀越勝先生の不安へのCBTのシンポジウム
最後の方にプロセスベースドCBTの話をされてた
スティーブンヘイズが、第3世代はもう終わったと言ってるとか何とか
どれだけ良くなったかでなく、良くなるプロセスをアウトカムにしていくとかの主張だった気がする
旅行に言い換えるなら、どこまで進んだかを評価するのでなく、どのようにその過程を進んでいるかを評価する、とかになるかな
休まず早く岡山につくのを良しとするか、寄り道をしながら楽しく旅行するのを良しとするのかとか?あってるかな?
ACTとかは症状の変化よりも価値に向かう活動が活性化されているかどうかを重視するらしいし、効果の比較というよりも、CBTの理念的な変化が起きているみたいだ
カウンセリングの価値についても、わたしなりの考えを近いうちに記事にしようと思う
終わって歩いていると研究室の5、6個上の先輩に会う
わたしの大学は認知行動療法の文化が全くなかったので、同じ大学出身の人に学会で会うのは初めてのことだ
まだ病院やるのー?と聞かれたので、じつは来年で退職するんですよーと話す
来年独立すると話すと、先輩も長いことそういう願望があると話されていた
先輩は、みんなで部屋を借りてトキワ荘みたいな形で開業できないか10年前から考えてるらしい
若くて、健康なうちにやった方がいいよと言ってくれた
先輩はもう40を過ぎて、家族もいて、簡単に独立なんてできないみたいだった
頑張ろうと思った
昼食の後時間が空いたので、同僚と先輩と岡山と言えばフルーツパフェを食べに行く
歩き回ったけどフルーツパフェをやってるカフェがない
駅で買ったのはいいけど食べるところがない
持ち帰って廊下で立って食べてたら、伊藤絵美先生が後ろで立って本を読んでた
最後はスライド発表を見に行った
トラウマ記憶のイメージの書き直しに興味があって見に行きたいと思っていた
前に清水栄司先生の講演を聞いたことがあったけど、社交不安のIRの手続きとは違うみたいだった
コメンテーターが言ってたけど、IRっていろんな疾患に対してあるらしい
そんなこんなで2日間終わった
夜は同僚と先輩と夜の街へ
適当に入った鳥好って店が結構にぎわってて、それでいて提供時間も早く、そしてうまい
お刺身は魚の寝かせ具合が抜群にいい
もつ煮もおいしくて、たぶん下処理が上手なんだと思う
岡山に住みたくなった
同僚はフライドポテトを頼んでて、岡山に来てフライドポテトかよ!ってまた思った
先輩はもずくをゆっくりたべてた
もう40過ぎなので
笑
学会が5時過ぎに終わってたので、飲み終わるのも早く解散した
その後私は友人と合流し、2軒目へ向かう
岡山なんて次はいつ来れるかわからないので、地酒を飲んでおかないと
しらこぽんず、酢牡蠣、あん肝、なめろう、鳥酢
どれもおいしくて、岡山、本当にいい街だと思う
もう一度昨日飲んだ多賀治が飲みたくて3軒目へ
店員さんから「昨日も来られましたね」と言われる
朝起きると、舌がピリピリ痛む
クジラと一緒に付いてたにんにくを食べ過ぎた!
3日目のワークショップは午後からなので午前は倉敷へ観光に行く
あまり調べずに行ったら、美観地区のお寺がすごくよかった
朝とか夕方とかに来たら心が洗われそう
結構な坂道と階段なので、若い健康なうちにまた来たい
お店もたくさんあるし、倉敷で学会ないかなー
午後は服薬アドヒアランスのワークショップに参加した
藤澤大介先生ってベックの翻訳とかしてる著名な先生を見るのが目的だった
ワークショップが終わってまた同僚たちと車に乗り帰る
途中サービスエリアで尾道ラーメンを食べる
これで旅の目的は全部達成した
病院に就職して、心理士生活をしてきて、同僚と一緒に学会に行ったりする経験が出来て良かった
独立したらひとりだけど、やろうと思えばいつでも、なんだってできるか
夜中に帰ってきたので急いで寝る
次の日は、朝4時起きで船に乗って釣りに行った