「うつのための短期行動活性化療法マニュアル」読んでみる

ツイッターを見ていたら「うつのための短期行動活性化療法マニュアル」というものを見つけたので読んでみました

タイトルうつ病でなくうつなのは診断横断的なポジションを意識して作られたのかな?

うつ病の認知行動療法はかつては「思考を変えて気分を変える、行動を変えて気分を変える」を目指していたように思いますが、近年では「QOLの改善を目指す」方向に変わってきたように思います

セッション1

  • 活動記録を用いて重要性と楽しさを評価します
  • 発症のきっかけとなった出来事に関わらず、うつによって引き起こされる特定の行動パターンが孤独、寂しさ、悲しみ、生きがいの喪失、絶望などの感情を引き起こします
  • 重要なポイントは、原因を明らかにすることでなく、抑うつ的な行動パターンを変化させることです
  • うつのない生活のためのキーポイントは、健康的な行動パターンを作り上げることです
  • 健康的な行動パターンとは、あなたの人生に目的があるかのように、毎日、満足感を感じる重要かつ楽しい活動を行うことです
  • 行動を変化させて、ポジティブな出来事をより経験するようになった後で、ネガティブな考えや気持ちが変わっていきます
  • 抑うつ状態は、あなたの価値にそっていない活動や、誰かに強制されている活動に圧倒されている時に起こると考えられています

活動記録

  • 活動は、観察可能、測定可能であり、最も細分化されたものにします
  • 活動と楽しさ、重要性、1日の全体的な気分を0-10で記録します

セッション2

人生の領域、価値、活動

  1. 人間関係
  2. 教育/キャリア
  3. レクリエーション活動/趣味
  4. 心身の健康/スピリチュアリティ
  5. 日常的な責務
  • 人生の領域とはあなたの人生の大切な部分、価値とはそれらの領域であなたがどのように生きたいのか、活動は価値にそって生きるために実際に出来ることを指します

セッション3

  • あなたが行っている活動の種類、その活動が楽しいのか、重要なのか、楽しくて重要でもあるのか、またはどちらもないのかについて気づくようにしましょう
  • うつの人は、楽しい活動に従事している時間がとても短い場合が多いです
  • また、自身にとって重要な活動すらも行わなくなり、楽しくも重要でもない活動を長時間して1日を過ごすことがしばしばあります。
  • うつの人の中には、1週間の中で多くの重要な活動をしていても、楽しい活動はほとんど行っていない人がいます
  • 1つの特定の人生の領域や価値に向けて活動を行うことは満足感がありますが、うつは人生の一側面によって引き起こされるわけではないため、幅広い人生の領域にわたって活動を選択することが重要です

活動の選択と順位づけ

  • 人生の領域におけるそれぞれの価値に沿った、多くの活動の中から15種類の活動を取り上げます
  • 15種類の活動を記入することができたら、1 (達成が最も簡単) から15 (達成が最も難しい) までの順位づけをしましょう

セッション4

活動モニタリングと活動計画

  • 15種類の活動をどのように日常生活に組み込むか、そして進捗をどのようにモニタリングするか計画を立ます
  • 活動記録表に、選択した活動を取り組む予定の時間枠に入れていきます
  • 大切なポイントは、それぞれの活動を行う具体的な日時を設定することです
  • 障壁があればそれを乗り越えるための新しい活動を追加します

セッション5

協定書

  • サポートしてくれる人を3名と、その人たちに助けてもらう具体的な方法を考えましょう。
  • それぞれの人に何を達成しようとしていて具体的にどのように助けてほしいかを伝えます。


学習というのは行動を意図的に変えるのでなく、前後に起きている随伴性を変えると言う手続きのはずなのですが、行動活性化療法は意図して行動を変えるに頼っている部分が結構あるように思います。なので出来ない人はなかなか出来なかったり、例えば一人暮らしの人の行動変容なんかは結構難しく感じていました。今回のマニュアルでは協定書という周囲の人や環境を利用する手続きが入っているところが新しいように思います(これまでも使っている人は使っていると思いますが)。あとは、価値の抽出のツールと手続きが載っているのがいいですね。個人的にはこれまで9つの価値を抽出していたのだけど、5つに減って時間内に進めやすくなった気がします。

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