研修に参加してきたのでまた書いてみます
講師は田中恒彦先生です
CBTの世界では若くてかなり著名な方です
わたし田中先生とは少し面識があって、その昔学会で症例発表をした時にコメンテーターをしてもらったことがあります
田中先生のセミナーを受けるのは久しぶりですが今回2回目です
初心者向けのセミナーはそんなに勉強になる所がないのですが、著名な人のセミナーは何度も受けたりしています
今回は5時間の動画が1か月繰り返し見れるて、資料もたくさんもらえました
いつもながら考えたことなど書き残してみます
アセスメント
- 認知行動療法とは、人間の困りごとを認知と行動という視点で理解して、それに対して脱学習・再学習することによって問題解決を図る心理療法です
- 認知行動療法には良い人格などありません
- 問題を考える時は、過剰なものや不足しているものは何かを考えると良いです
ケースフォーミュレーション
- 科学と個人の経験が統合されていくことがケースフォーミュレーションの意義です
- 介入を始める前は介入を妨害する要因について予測します
デモンストレーション
- パニック障害のインテーク面接
人のデモンストレーションを見るのはおもしろいです
見ていると
- 話を区切ってカウンセラーが次の話題をふる
- 「こうなってませんか?こうなってませんか?」と言い当てながら進める
- 「その時考えたことやイメージはありましたか?」と出してもらいたい反応を指定しながら進める
というところが特徴的で気になりました
特に3つめの部分に関して、私も認知や感情を追っていく質問はするのですが、わたしの場合、「その後どうなりましたか?」と基本オープンに聞いていきます。
この違いを考えていたのですが、「何に気づきやすく、何に気づきにくい人なのか」をアセスメントするためかなと考えました。例えば、思考には気づきやすいけど感情には気づきにくいとか、逆に感情には気づきやすいけど思考には気づけないとか、自分に中に起きることには気づきやすく周囲に起きることには気づきにくいとか、それはこちらが次の反応を指定するとわからないからかなとか考えました
途中で掴まれた指を引っ張るエクササイズが出てきたのですが、それがよく分かりませんでした。「指を掴まれた時、引くと抜けないけど一度押してからだと抜ける」というのは、「ワニにかまれた時は引くより押した方がいい」とかそういうことなのかな?「掴まれた指は抜こうと引っ張ると痛いけど、引っ張らなかったら痛くない」とかそんなことではだめなのか?伝えたいことが違うのか?とか考えてました。
あとは、指1本とはいえ身体接触なので、そこは慎重になるかなと思いました。カウンセリングを行う環境によっても違うのかもしれませんが、うちのような個人のカウンセリングルームではとてもそんなことはしません。他の方法で十分伝わるなら他の方法を考えるかな。ペンを握ってもらうとか
「肩に力が入っているように見えますが」と様子を指摘される場面があったのですが、これもわたしはしないなあと考えてました。社交不安とかパニック症とかそうですが、緊張していることに気づかれたくない人は多いのと、やっぱり身体に対する指摘は侵襲的に思いますね
他のところは無駄のない感じ進んでいて勉強になりました
質疑応答
- 痛みの観察可能な指標としては、行動を止めた回数があります
- 悩み事は、感情と思考と行動と身体感覚に分離可能であることを共有することを大事にしています
今回の研修は事例の話がなかったのですが、途中で話されていた、頭を壁にガンガン打ち付ける問題について考えていました。入院中の患者さんで、壁に頭をガンガン打ち付ける自傷行為があって、それは看護師さんが現れるとやめる、と言うことでした
これについて先生は看護師が弱化子といわれていました
頭ガンガンする→看護師が来る→頭ガンガンやめる 正の弱化
でもこれは看護師が強化子と見ることも出来ます
看護師なし→頭ガンガン→看護師が来る 正の強化
介入の基本として、減らしたい過剰な行動に対しては消去の手続きが優先されるので、強化子の特定が優先されると思います。看護師が弱化子であるなら、頭をガンガンすることの強化子を別に探す必要があると思うのですが、その話はされていませんでした。
介入としては、「不意に看護師が見に行って、頭ガンガンしてなかったら関わって、ガンガンしてるときは関わらない」、とされたとのことで、それだとやはり看護師は強化子として扱われた介入になっていると思います。というか弱化の変間隔スケジュールってあるんだっけ?ガンガンしてるときは関わらない、なんてことがよく出来たなとも思いますが笑。
しかし強化子か弱化子かどうやって判断するのかというと、実験的介入になるのかな。弱化子であるなら看護師が現れないとガンガンし続けるし、強化子であるなら消去されてしなくなる。まあしかし…疲労とか飽和もあるので、こうなったらこうで、こうなったこうで、とわけるのも難しいように思います。
スタンダードな介入としては、「頭をガンガン打ち付ける時間帯やスケジュールを測定して、看護師がいなくなってからどのくらい時間が空くとガンガンし始めるか測定し、徐々に見回りの時間間隔を広げていく」とかになるのかな。阻止の随伴性とかFTスケジュールと言うやつです。