メモ書きを書き残します
Table of Contents
CT大会企画シンポジウム
「新世代の認知療法 -well-beingへの取り組み-」
- 反芻には、「繰り返し考えることでどんな結果になっているか」を問います
- 活動に対して喜びや楽しみを予期できることがうつ症状の改善と関連します。単に行動が増えることではありません
報酬知覚って、認知療法の人が行動活性化に無理やりねじ込んできた概念のような印象があるのですが、去年学会賞とか取ってたのできっとそんなことはないのだと思います笑
Wellbeing尺度
- SWLS 人生に対する満足度
- FS 自己実現や生きがい
- SPANE 現在の肯定的、否定的感情
- マインドフルネスによってポジティブな感情が増えます
- 本質的な所は、目の前のことに関わることです
- ACTで大事なのはコミットメントと行動活性化です
- 価値とコミットされた行為を引き出すためにACTは行われます
- どこまで行っても達成されないものが価値です
- ACTは治療という文脈でなく、幅広く精神的健康やウェルビーイングを目指すので、ユニバーサル介入との相性が良いです
そんなにしっかりしてなくていいので、臨床的に使える価値を明確にする簡便な尺度を誰か作ってくれないかな―といつも思います。MSPAみたいなプロフィールに出来るとgood
ウェルビーイング療法
- ウェルビーイング体験の観察 セルフモニタリング
- ウェルビーイングを妨害する認知の同定 認知再構成 ポジティブ体験のコラム表
- ウェルビーイングを誘発する活動の強化 段階的曝露
- 心理的ウェルビーイングの不足領域充足 認知再構成 心理教育とアセスメント
今度仕事で必要なので興味深く見てました。ポジティブ体験を阻害する自動思考を同定し、それを和らげていくみたいです。うつ病で休職してる人の「散歩なんかして遊んでちゃだめだ」みたいな部分だと思います
「身体症状症(慢性疼痛を含む)に対する認知行動療法と身体的治療のコンビネーション」
慢性疼痛の認知行動療法
痛み尺度
- NRS 主観的痛み
- BPI-J 疼痛評価用紙(縮小版) 痛みの強さ、疼痛による生活への支障
- PCS 痛み破局化尺度 31点カットオフ
触角の注意シフトトレーニング
- 疼痛部位と、痛みのない部位に交互に触れ、その感触を言葉で説明することを繰り返します。半分くらいの人に有用でした
メモリーワーク
- 痛みが治まった痛み体験全体を客観的にとらえ直し、痛み体験のネガティブな印象を軽減させます
イメージの鮮明化
- 疼痛部位が理想的に動いていることを繰り返し詳細にイメージします
ビデオフィードバック
- 患者自身または他者が動いているビデオを観察することによってイメージの鮮明度を向上させます
結果
- 痛みの強度に変化はなかったが、破局的認知は改善しました
- 生活支障、うつ、不安も改善しました
- 医療経済的効果として、医療費の領収書、薬代をデータとしました
慢性疼痛への認知行動療法開発中だそうです。社交不安症のCBTの援用みたいですね。どちらかというとパニック症に近い印象なのですが、パニック症のCBTも社交不安症のCBTの援用ですね
「薬剤師がうつ病患者のために医師と連携して実施する認知行動療法的アプローチの成果と今後の展望」
- 抗うつ薬治療開始3か月で、約40%が中断した報告があります
- 治療開始5日後に電話でサポートしました。通院継続率は、2週間後82%、1か月後70%、3か月後63%でした
- 離脱理由は体調が良くなったからが多いです
「デジタル・オンライン認知行動療法の実践とその可能性:COVID-19パンデミックをむかえて」
- Clark&Wellsモデルに基づく社交不安症のCBTは、抗うつ薬、対人関係療法、段階的曝露療法+応用リラクゼーションより効果が勝り、抗うつ薬で改善しない患者にも有効です
社交不安症の遠隔認知行動療法
- 14週の集中介入+3か月の電話フォローアップ
- 最初の2週間は週2回の遠隔面接を通して8つのモジュールを進めます
- 3週目以降は行動実験と適宜特定のモジュールをリリースします
社交不安症のCBTは、薬物治療含め他の方法よりも非常に高い効果が出ているのですが、オンラインでも効果が出るか検証中らしいです。12週間、行動実験、注意シフトトレーニング、ビデオフィードバックをやり続けるのは、主要な成分がこの3つらしいと言うことでいいのかな?ビデオフィードバックなんかはかなり強烈に信念を揺さぶりますね。いきなりホームワークは出来ない人もおられるので、面接中に練習出来ると言う所もいいです。個人的には世論調査とかもソフトで取り掛かりやすくて好きなのだけど、あまり主要な所ではないのかもしれない
うつ病のブレンドCBT
- 対面とインターネットCBTの組み合わせです
- 12週間の介入と3か月のフォローアップをします
結果
HAM-D 50%以上減少
- 12週後 ブレンドCBT55% ウェイティング12%
- 24週後 ブレンドCBT75%
HAM-D 7点以下へ改善
- 12週後 ブレンドCBT40% ウェイティング5%
- 24週後 ブレンドCBT65%
- ブレンドCBTはiCBTの脱落率の高さ、アドヒアランスの低さをカバーできます
寛解率なんと8倍です。長いことウェイティングさせることの倫理的な問題もあって24週後は比較出来ていないのだけど、比較していたら10倍くらいになってると思います。ビデオと対面ブレンドしてのカウンセリングはTRACE高宮でもやってますよ。
CT自主企画シンポジウム
「オンライン心理支援のバリエーションと課題の解決」
ゲーム障害予防教育プログラム
- 子どもと共依存関係にある親が多いです。家族は要支援者です
- 4週間毎週の講座と毎日の宿題を出します。宿題は5分で終わるものです
- 親自身に、これからの人生で自分は何を大切にしたいか振り返ってもらいます
- ルールを守らせる前に相手を知ります。子どもの世界に関心を持ちます
時間管理CBTの発表もあったのですが、とにかく外在化とスケジューリングをするみたいで、見てるだけで結構大変そうでした。わたしだとたぶんめんどくさいと思ってしまう笑。セラピストのガイドが左右するように思います。集団でやると言うのもモチベーションを維持する重要な所なのかもしれません
「統合失調症の認知行動療法(CBTp)の現在地から未来へ」
CBTpのメタ解析
- CBTpは陽性症状を軽減しました
- 通常治療に比較して脱落率が高かったです
- 半分の人は20%の改善を得られました
- 長期追跡をしても通常治療より効果がありました
- QOLには終了時小さな効果があるが、フォローアップでは確認されませんでした
- CBTp単独と抗精神病薬治療の比較では、精神症状、社会的機能に差はありませんでした
- 入院治療でのCBTpは、再発再入院のリスクを減少させました
NICEガイドライン
- 精神病の予防では薬物治療ではなく、個人CBTと家族支援、不安とうつに対する介入を推奨しています
- 初回精神病エピソード、急性期エピソードには、抗精神病薬と家族療法、個人CBTを推奨しています
- 精神病を持つ人でCBTpを受けられる人はイギリスでも10%です
海外のデータばかりで日本の研究は出て来ませんでした
CTケーススタディ
症例概念化
- 行動パターンの基になっている認知と共にある情動を治療者の中で仮説を立てます
ここが気になった所でした。中野先生は、患者と共有する前に治療者が認知や感情の仮説を立てると言われてましたが、そうなのか?わたしの場合、ここに認知があるだろうな、ここに情動があるだろうなというくらいの仮説は立てても、どんな認知か、どんな情動か、その内容まで仮説を立てることはないのだけど、違うのかな?その後ソクラテス式に明らかにすると言えど、あまり具体的に仮説を立てると誘導的にならんかな。まあしかし、どんな状況でどんな行動に困っているかわかればだいたいどんな感情があるかわかるし、どんな状況でどんな感情に困っているかわかればだいたいどんな思考があるかわかるので、経験を積むほど予測しないという方が難しくなっていく気もしますね。
共催セミナー
「気分障害とアルコール」
- うつ病患者の26.4%はアルコール依存症を併存しています
- アルコール依存症の評価 AUDIT
- アルコール依存症を合併していると抗うつ薬による寛解率が30%に低下します(被合併は56%)
- 不眠症を併存するアルコール依存症患者の70%は、1日300g以上の飲酒を、95%以上は1日150g以上の飲酒をしています
- 20g=ビール中瓶1本、チューハイ1缶、日本酒1合、焼酎ロック1杯
- 気分の波があると飲酒量は増えます。合併している精神疾患を治療することでもアルコール依存症は治っていきます
MD一般演題
Hamilton Rating Scale for Depression 7点以下のうつ病患者に残遺した抑うつ症状と生活の質との関連
- 健常群と寛解期うつ病群では、HRSD3点以上になると、精神的健康、役割/社会的健康(機能障害)に有意差が出ます
- 0点でないと国民標準値を超えません
7点がこれまでの研究での寛解の基準なのですが、0でないと機能障害が見られるらしいです。なかなか厳しいですね…
難治性うつ状態にある患者を認知機能の側面から捉えなおす試み
- うつ病患者の3割が難治化の経過を辿ります
- 難治化と知能検査との関連を見ると、言語理解の高さに対して、処理スピードが低い特徴があります
流暢にしゃべれていても、作業スピードは支障が残りやすいそうです
CT一般演題
うつ病に対する認知行動療法初学者における認知行動療法スキルと症状改善の関連:厚生労働省認知行動療法事業データベース解析
- CTRSとうつ症状の関連をみると、アジェンダ設定、重要な認知行動への焦点づけ、ペース調整時間の有効活用、ホームワークがうつ症状の改善と相関します(海外)
- 日本では、理解力、対人能力、誘導による発見、共同作業、フィードバックの5項目にBDI変化量と有意な負の相関が認められました
同じ方法の再試なのか?聞いていてよくわからなかったのだけど、日本人と外国人では、CBTの重要要素が違うと思っていいのかな?データになっている厚労省の研修でCTRS採点してるのって大野先生とか一部の人なので、その辺の採点者バイアスもありそうに思います
行動経済学の心理療法への応用-論理(合理)情動行動療法(REBT)への適用の可能性-
4つの非合理的信念
- 要求ビリーフ(must, should)で考えること
- 最悪だと思うこと
- 低い欲求不満耐性
- 自己や他者に対する価値下げ、包括的評価
REBTは福岡でやってる人0だろうから、ちょっと勉強してみようと思いました。昨年本を数冊買ってるので、そろそろ読まないと…
続きは次回で最後の予定です