毎度書いてますセミナー参加記です
認知療法の世界で有名な井上和臣先生のセミナーがあるということで参加してました
日本の認知療法の始まりを辿ると2人の人がおられます
1人はうつ病の認知行動療法の診療報酬化を頑張っておられる大野裕先生です。雅子様の治療とかされてる有名な方ですね
もう1人が井上和臣先生です
2人ともベック研究所に留学されてたそうで、日本にベック式の認知療法が広まったのはこの2人がいたからといっていいと思います
ちなみに海外にはベックのほかにも認知療法で有名な人がいるので、他のところに留学していたら、日本の認知療法の歴史は変わっていたかもしれません
大野先生はわたし5年程前に厚労省のうつ病の認知行動療法研修で拝見しました
懇親会の帰りのタクシーに一緒に乗ったのですが、「ホテルが高い所しか残ってなくてね…」と言われていて、人間味のある人なんだなと思った思い出があります
井上先生は本は何冊も持ってるのですが、研修とかは受けたことがありません
そういえば井上先生の「認知療法への招待」は良い本です
いろいろな精神疾患に対する認知療法が書いてありますよ
ということでまた書き残していきます
Table of Contents
認知療法・認知行動療法 基礎 井上和臣
強迫症 4段階方式の認知行動療法
- ラベルを張り変える
強迫観念、強迫行為を正しく自覚する - 原因を見直す
原因について理解する - 関心の焦点を移す
強迫観念や強迫衝動に対して別の関心のある行動を行う
一定時間を決めて練習する(15分強迫行為を遅らせる) - 価値を見直す
強迫症状の正体を見極め、とらわれないようにする
- 軽躁の人には48時間待ってもらう。考えてすぐ行動に移しません
- うつ病患者の思考内容は、低い自己評価、自己非難、過剰な責任、逃走への願望という特徴を有します
中心的な主題
- 抑うつ 喪失
- 不安 危険・脅威
- 怒り 公平
- 治療には2つのモードがあります。受容と変化です
井上先生の話している所をたぶん初めて見たのですが、軽やかな話し方でした。普段もあまりきっちりしたCBTではないみたいで、途中では内因性とか神経症とかの用語も使われてました。認知療法というよりも、認知療法家、という感じですかね。
行動的技法 活動記録表 若井貴史
内容は活動記録表です。よくある初心者向けの研修という内容で、特にメモしたことはありませんでした。
認知的技法 コラム法 若井貴史
よくある初心者向けの研修という内容で、特にメモしたことはありませんでした。哲学の話を盛り込んでおられました。
気になった所を上げるなら、コラムの書き方で、「叱られた」を状況に入れると言われてたのだけど、それは状況にも思考にも入れることが出来ると言う所です。コラム法は、まず悩ましい感情は何かを特定して、それをもとに、何を状況に入れて何を思考に入れるかを調整しているようなところがあります。
叱られた、と言う出来事に対して出て来る自動思考が悩ましい感情を起こしているのか、ある状況を、叱られた、と評価することで悩ましい感情が起きているのか、といった違いになります。コラムは、正しい事実があってそれを正しく明らかにするために使うわけではなくて、自分が健康でいるためにコラムをうまいこと使うのだとわたしは思っています。
次に、「出来ないかもしれない」「怒るかもしれない」といった形で自動思考をとりだしていたのですが、わたしの場合、自動思考は言い切り型に修正して取り出します。「出来ない」「怒るだろう」といった形です。なぜかというと、言い切りの方が言葉がシャープでその後の変化が大きいからです。ここも上と同じような理由ですが、「出来ないかもしれない」の方がその場で思ったことを正しく取り出しているのかもしれないけど、それだとその後の手続きで確信が下がりにくいです。
まあでもどちらのやり方でも悪いと言うことはないと思います。わたしは元の自動思考の確信の変化を重視しているのだけど、適応思考の算出を重視するのであれば、元の自動思考は気にしなくていいとか、そんな違いかもしれんな、とか思いました。
認知療法のセミナーを受ける機会はそんなに多くないのですが、一通り有名な人のセミナーは受け終わった気がします。大野裕、井上和臣、伊藤絵美、西川公平、今回の若井先生も割と著名な人ですね。あとはUPの研修されてた加藤典子先生も上手でした。認知療法はおもしろいので、いろんな人のやり方を見てみたいものです。認知療法ナンバーワン決定戦とかあったら、絶対見に行きますね