パーソンセンタードセラピーの本を読み終えた

前に読もうかと検討していた本がヤフオクで1200円で出てたので買ってみた


パーソンセンタード・アプローチの最前線―PCA諸派のめざすもの

何気にパーソンセンタードの本を買ったのは初めてになる

正月実家に本を運んだばかりなのに、また増えてしまった笑

実はもうずいぶん前に読み終わっていたのだけど、最近ブログ書きを後回しにしがちでようやく書けた

よく見る専門書サイズよりも大きいA4サイズの本で、大学院とかの授業で買わされそうな感じ

海外で書かれた本の邦訳で、ロジャーズ以降のパーソンセンタードセラピーの4つの学派について説明されてる

表紙を見るけど、外人さんの名前も邦訳の日本人の名前も誰一人知らない…

全く勉強が足らんなあと思わされる

せっかく読んだので章ごとに線引きしたところを書いてみる

1章 クライエントセンタードセラピー、パーソンセンタードセラピーの歴史

  • ロジャーズは児童虐待防止協会に職を得、心理測定的アプローチから離れ、ソーシャルワーカーが行っているような子供や親を援助する実践的なアプローチに興味を抱くようになった
  • 問題児の親と良い人間関係を築くことが成功への鍵の一つだということに気づいた
  • ロジャーズの2冊目の著書『カウンセリングとサイコセラピー』の中で、実際のセラピーセッションの逐語記録を始めて載せた。ハーバードブライアンの事例という8回全セッション記録。それまで謎に包まれていたサイコセラピーの世界への理解を深めるものだった
  • 非指示的セラピーは他のアプローチと違い、セラピストの専門性よりもクライエントが自分の成長過程を方向付けることへの信頼を大切にしている
  • 有名な6つの必要十分条件。これ以外の条件は必要ないと宣言した
  • カリフォルニア時代にパーソンセンタードという言葉を使い始めた。セラピー以外の領域のためにこの言葉を使った
  • ロジャーズは1対1のセラピーを指すときにはクライエントセンタードという言葉を使い続けた

2章 古典的クライエントセンタードセラピー

  • 必要十分条件の理論は、セラピーの関係性を超えて、人が経験する他の事象にまで広げられる人間の建設的な関係性に関わる理論である
  • クライエントの内なる世界に共感的に関わりながら、同時にある種のテクニック、教示、提言、アドバイスなど、セラピストの枠組みからの応答をすることはできない
  • パーソンセンタードの関係は道具的なものではない。道具的であってはセラピーの文脈が成り立たない。テクニックや方略の前提条件でもない

3章 フォーカシング指向心理療法

  • パーソナリティ理論はパーソンセンタードアプローチの考え方にはあわない。特定のパーソナリティ理論はセラピストがそれを通してクライエントを見るもの
  • 状況についてのフェルトセンスは、怒りや恐れといった言葉でとらえることのできるような明確な感情ではなく、常にもっと複雑で微妙なもの
  • フォーカシング指向心理療法は、クライエントに役立つのであれば、パーソンセンタード以外の心理療法で開発された技法であっても取り入れることが出来る。ただしそこで用いる技法は、つねにロジャーズの中核条件によってつくりだされる信頼感と安全感のある関係の中で使用されなければならない
  • クライエントセンタードは、セオリーセンタードと対比されるもの
  • クライエントセンタードのセラピストは、クライエントの根本にある目標がなんであるかを知らないという立場。クライエントが、バランスのとれた統合された人になりたいのか、他のことは犠牲にしてもある種の能力を伸ばしたいと思っているのかを知らない
  • 道具的なセラピストは、クライエントにとって何が良いことなのかという一般的な見方をもっており、その見方の範囲で、指示的にも非指示的にも振舞う
  • パーソンセンタードセラピーは、どのようなものであってもクライエントにとってこれが良いのだという見方を押し付けるべきではない
  • しかし全ての人が自分自身の道を見つけることに関心を持っているわけではない。多くの人々にとってはむしろ、伝統的に重んじられた慣習に従った、正しい道を見つけることの方が大事
  • その人自身の道を発見することが、いつでも人々にとってよいことなのだという考えを標榜しているわけではない
  • セラピーの効果にとって重要な点は、クライエントに備わっているある種の特性と、クライエントとセラピストの関係の質

4章 体験的パーソンセンタードセラピー

  • 体験過程とは、言葉では存在しなくても、体の中に具体的に存在する
  • 生活しながら同時に体験過程に触れることが出来る
  • 体験は情動的、認知的メカニズムをもつ。問題は、体験の象徴化処理の貧困化(起こった事柄を、過去からの感情スキーマに組み入れてしまうこと)あるいは、思考と感情間のアンバランスによる機能障害と考える
  • 思考とは制御された意識的な概念的情報処理、感情は意識していない情報に対する自動的情報処理
  • セラピーの目的は、クライエントが体験の流れに忠実であること。変化することの苦しさをクライエントが受け入れるように援助する
  • ジェンドリンは、セラピストが何をしているのかをクライエントが正確に知っている必要はないと考えた

第6章 誠実な統合に向けて

  • セラピストは、考えや感情やプロセスのエキスパートではあるが、それはクライエント一般についてということであり、個々のクライエントについてではない

以上

4章まではちゃんと読んだけど、5章の実存的アプローチからはあまり関心が持てずパラパラと読んだ

観念的な話は苦手だ

2章で自己理論についての話もあるんだけど、そこも読み飛ばしてしまった

パーソンセンタードの重要概念は、非指示性から体験過程、関係性へと移り変わっていったのだと思う

非指示的であることが絶対的に重要なのでなく、体験促進的に機能するなら指示的であっても良いし、どのような関係性の中で指示が行われるかが重要なのだと思う

クライエントセンタードはリレーションをこそ重視し、フォーカシングは、クライエントがセルフケアし、セラピストはそれをサポートするという関係を作っている点が異なるように思う

個人的に好きな部分は、「クライエントが、バランスのとれた統合された人になりたいのか、他のことは犠牲にしてもある種の能力を伸ばしたいと思っているのかをセラピストは知らない」って部分で、これを自覚していることは本当に重要だと思う

1冊読み終えてみて、パーソンセンタードもだいぶんお腹いっぱいになったけど、最近読んだ紀要もたまってるので近いうちにまた書こうと思う

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