よくわかる認知行動カウンセリングの実際「8章 ホットな思考を変えること:評価への介入」まとめ

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よくわかる認知行動カウンセリングの実際: 面接の進め方とさまざまな感情への応用

評価への介入

評価への介入を選択する基準

  • 自分自身への極端な低い評価(中核信念)、重要な他者や状況への極端な評価、不幸な出来事への低い不快耐性信念、不幸な外的内的体験の拡大解釈があることです

 評価は善し悪しのような価値判断です。評価は感情とつながりがあり、「ホットな思考」と呼ばれます。推論は評価を通じて感情とつながっています

 評価への介入の目的は、最悪のシナリオでも健全なネガティブ感情を伴って反応出来るようになることです

 極端な評価が先に変化すれば、推論を変化させることが容易になり、行動実験に取り組んだり安全希求行動をやめることが比較的楽になります

 推論への介入が進展しても、「不幸な出来事はほとんど起こらないと思うが、万が一起きたら耐えられないと信じている」クライエントには評価への介入を提案します

1.論駁による評価への介入

 極端な評価と代替評価の違いを明らかにする方法は論駁です。クライエントは自分の極端な評価が不合理的で非現実的で、代替評価が合理的で現実的であることを発見していきます。論駁では評価の現実性、有用性、論理性を尋ねます

2.イメージ技法による評価への介入

 論駁がうまくいくと、極端で絶対的な評価が相対的な評価になり、破局的評価が柔軟になります。しかしこれはまだ知的洞察の段階です。「あたまでわかる」ことは感情的/行動的変化に必要ですが十分ではありません。

 信念の変化に伴う感情の変化を実際に体験する必要があります

イメージ技法

  1. 不幸な出来事をはっきりと思い浮かべ、エピソード全体を再体験してもらう(不幸な出来事A、不合理な評価B、不健全なネガティブ感情/行動C)
  2. 不合理な信念へ意識を向ける
  3. 不合理な信念から離れ、合理的な代替案に置き換えていく

 クライエントは感情を変化させようとして、評価信念BでなくAを変えようとするかもしれません。出来事はそのままで信念を変えることで感情が変化するようにします

 ホームワークとして1日2,3回以上イメージを行います

3.行動技法(エクスポージャー)による評価への介入

 認知技法とイメージ技法がうまく働けば、信念を変化させれば感情も変化することを体験しています。しかし、日常生活や実際の困難な出来事でそれを感じるには至っていません

 ここで取り組むタスクは、確信度を高め、信念が自動的な普通の信念になることです

 目標は、恥や不安ではなく、落胆や心配といった健全なネガティブ感情を体験することです。また自分を尊重し、積極的に自己主張する行動を示すことです

恥ずかしさを取り除く訓練

 恥ずべきことをしている時に、無条件の自己受容信念(こういう間違いを犯すけど自分を受け入れる)や高い不快耐性信念(とても不快でも僕にはできる)につなげる練習をします

 繁華街や駅前で叫んだりスピーチしたりするといった明らかにバカげた行動や、批判的な人にあえて反論したり、依頼を断るといった自己主張訓練があげられます

 恥ずかしい部分を隠す安全希求行動をとらず、自己受容と高い不快耐性も意識しながら、恥ずかしい部分を見せたり、わざと周りの注意を引いてもらうこともあります
 (例 「おー僕の顔が赤くなってるぞ!」と周りの人に言い、顔が赤くなり、みんなから批判されても自分のことを受け入れる

 目的は偏った推論の反証を得るのではありません。推論が正しくても自己受容し不快さに耐えることです

 うまくいくと、恥の感情が落胆や心配といった健全なネガティブ感情に置き換わるだけでなく、ネガティブな態度もなくなり、自己を尊重する主張も積極的に行うようになります


 評価への介入は、認知、イメージ、行動的方法にわかれる。3つの介入の選択基準の説明がわかりやすかった。行動的方法のみやや延長線上にない印象もあるけれど、対象とする思考の違いで説明できそうに思う。認知再構成法をやってみたけどもうまくいかない時というのは、対象とする思考を外しているか、その取り出し方によるところが大きい。例えば、恥ずかしさの感情を変化させるために「みんなから見られている」という思考を対象としたとき、「見られてない」と反証するのでなく、「見られていて恥ずかしいが、…ではない」というように、もっと下にあるより感情を喚起する意味付けを問題にする。しかし感情の質的な変化を評価するというのは考えたことがなかったな
 恥ずかしさを取り除く訓練(東京の原井先生の言う恥さらし訓練)は前々から知ってはいたけれど、その機序はエクスポージャーによる恥の感覚の消去と思っていた。この本に書いてあることは違い、エクスポージャーをしながら自己受容の思考と連合させている。恥ずかしさという最も受け入れがたい自分を受け入れることが出来ると強力に作用するのだと思う

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