認知行動カウンセリングの実際を読む「12章 不安」

パートⅡさまざまな感情への応用編を読んでいきます
この応用編こそ楽しみにしていた所です

 認知行動療法で主なターゲットとされる感情はうつと不安なのですが、CBCでは他の感情に対しても認知療法的アプローチが出来るということです。ここを知るとカウンセリングの幅が広がりそうです

不安

不安に関するABCモデルのC

 不安に伴う主な行動傾向は様々な回避です

 恐れていることが現実的に避けられない状況では認知的な回避が起きます

 不安による不快感を避けようと感情を回避することもあります。安心させてくれる人を求めたり、別のことに気持ちを向けたり、リラクセーションを行ったり、アルコールや薬物を摂取したり、方法はいろいろあります

 不安に関連した認知的な結果もいろいろあります。思考停止、恐れていることへの過剰な警戒、不安を減らすために補償を求めることです。

不安に関するABCモデルのA

 不安をもたらす出来事とは、身体、対人関係、感情の各側面に安全感が脅かされるものです

 感情的脅威は感情への恐れです。不安になること(恥、怒り、うつを体験すること)への不安です。

感情的脅威の2つの要素

  1. 将来の苦痛や感情的な痛み(不快さへの予期不安)についての不安がさらなる不安をもたらすこと
  2. 不安を感じること自体が自分に迫る危険の証拠だと考えて、さらに不安を高める悪循環に陥ること

 不安はメタ感情になります

不安に関するABCモデルのB

推論

「きっとわたしは~になる」と表現されます

評価

 不安な状態で生じやすい評価は、破局的思考、低い不快耐性思考、ネガティブな自己評価です

 多くの人が不安を減らすために、「恐れていることは絶対に起きない」と無理に思い込もうとします

 推論だけで不安になるのではなく、その経験を悪いものだと評価すると不安になります

不安に対する中核的治療目標

 考慮するべきことは、不安の替わりに何を感じると役に立つかです。目標とする感情は、脅威対象を避けるのでなく、その対象への接近を促進するものにします

 クライエントは「強い不安をなくしたい」「不安が減ればいい」といいますが、何も感じないことは脅威対象に近づいたり建設的に取り組んだりする動機づけにならないどころか、大きな不利益をもたらします

 カウンセラーは、不安の代替となる健全な感情を見つける手助けをします。「心配」「緊張」「気がかり」などが目標として選ばれます。

 目標を設定する時は、回避(安全希求行動)は全く役に立たないことを理解できるように支援します。達成したいことを回避が妨害していることを強調します

 確率が低くても推論が実現する可能性は残っているので、クライエントの不安も消えにくいものです。そのため推論よりも評価に介入するほうがいいです

 評価への介入では、破局的思考、低い不快耐性、ネガティブな自己評価に疑問を投げかけます

 「たとえ好きな人に交際を断られても、就職面接で採用されなくても、聴衆から良い評価が得られなくても、決しておしまいでもなく、耐えられないものでもなく、自分の評価が定まるようなものでもない」、ということに気づくように支援します


 不安がなくなると良くなると思ってきた人に、不安をなくすのでなく、とるべき行動をとれるようになるということを目標にして、いかに合意をとれるか。不安は置いておき、とるべき行動を決め、それを取りやすくするために感情の質を変える。その時に操作出来るのが推論や評価などの思考や信念ということだ。「とるべき行動を決める」ということを先にしないと、カウンセリングは不安に振り回される。

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