認知行動カウンセリングの実際を読む「16章 傷つき」

よくわかる認知行動カウンセリングの実際: 面接の進め方とさまざまな感情への応用

今日も読んでまとめていきます

傷つき

 傷つきは「無視された感情」と呼ばれ、論理情動行動療法以外の文献にはほとんど載っていません

 傷つきはうつに含まれますが、CBCでは傷つきの認知的・行動的な結果は純粋なうつとは大きく異なると考えます

 傷つきとは感情的なものです。これは対人関係で生じる感情です

 「関係性の価値下げ」と「断絶感」が中心的です

 傷つき体験のエピソードは無視したり、回避したり、排除したりする出来事だと言えます

傷つきに関するABCモデルのC

 多くのクライエントは傷つきを訴える時「混乱している」と言います

 傷つきは最も痛みの強い感情です。傷つき体験を話し始めるとすぐに感情が高まります

 傷つきと関連する主な行動傾向は、すねることです。しかし引きこもっていると感情が慰められるかどうかは相手の行動にかかってきます。すねることは、傷ついている人が主導権を自分にひき脅そうとする目的もあります。すねることで周りの人からのいたわりや謝罪を引き出そうとしています

 傷つきからもたらされる主な認知的結果Cは、自分に対する扱いの不公平さの誇張です。この認知はメタ感情レベルで傷つきの感情をさらに強める傾向があります

 傷ついている時にはそのような行動が自己防衛で自分を保護すると錯覚しています。和解して自分が相手と同じ立場になると、また傷つけてくるのではないかと感じているからです

 すねていると周りの人は距離をとるようになり、それを見て自分はひどい扱いを受けていると感じ、傷つきの悪循環が持続してしまいます

 傷つきの健全な代替感情は悲しみです。悲しみは傷つきのような自己破壊的な行動をもたらしません。

 傷つきと悲しみの大きな違いは、傷ついた場面における自分自身の要因を考える準備性を高めることです

 傷つきでは、不公平さを誇張して自分の気持ちをなだめることで気持ちがいっぱいです

傷つきに関するABCモデルのA

 傷つきをもたらす出来事は過去か現在のいずれかです。将来を予測することでは傷つきの感情を体験するには不十分です

 傷つきをもたらす出来事の多くは主に対人関係で、良く知っている人との関係で生じます

傷つきに関するABCモデルのB

推論

 傷つきに関する推論は、他者がとった行動と関係します

 他者の行動を自分に危害を加えるものとみなすまで傷つきは生じません

 傷つきが起きるには、他者から不公平な扱いをされること(B1)は不当であり、理由のないことだと推論すること(B2)が必要です

 その扱われ方に納得しているかどうかを確認する必要があります

評価

 論理情動行動療法では「自我の傷つき」と「非自我の傷つき」を区別しています。前者は「全体的な自己評価」、後者は「低い不快耐性」を意味しています

 CBCでは、傷つき体験の中核は3つの評価と考えます。「こだわり」、「低い不快耐性」、「全体的な自己評価」です

 「自分は他者からどのように扱われるべきか」についてのこだわりをもっていると2分法的思考が生じやすくなります

 低い不快耐性は、「その経験は、不公平すぎるので、耐えられない」というものです

 他者から自分が「普通以下だ」「不要だ」「悪い」「価値がない」と思われているに違いないと結論付けることで傷つきの全体的自己評価に至ります

 相手は正しくて、自分はダメで、普通以下で、正当な扱いを受ける価値がないという確信です

傷つきに対する中核的治療目標

 傷つきはひどい痛みを伴う感情体験です。この認識を伝えることはとても大切です。この認識がなければ傷つき体験を回避し、怒りや別の感情として問題を表出します

 クライエントは傷つき体験を自分の弱さだと考えていたり、恥ずかしいと感じているかもしれません

 この思考プロセスを明らかにするには、傷つきを体験してもらう必要があります。その後でのみ、中核的な評価にたどり着くことができます

 感情が伴わないと冷静に理解しているように見えますが、クライエントは何も得ることなくカウンセリングを終えてしまいます

 さらなる目標は、傷つきがさらに自己破壊的や思考をもたらすことを認識できるように支援することです

 傷つきに変わる健全な感情は悲しみですが、多くのクライエントはこの言いかえを表面的なものだと考える可能性があります

 悲しみは変えられないものを受け入れ、積極的に回復したり変化に取り組むことを助けます

 傷つきの信念の論駁の第1の重要ポイントは、他者の不公平な行動に耐えられるかどうか、耐える価値があるかどうかです

 第2に、実存的な全体的自己評価を行っているなら、他者からひどい扱われ方をすると人間として実際に何が変わるのかを考えるように促します

 他者が自分をひどく扱うと、つらいと感じます。しかし、自己全体が変えられたわけではありません


 傷つきに関しては行動的な維持要因が多いように思う。傷ついている状態はコミュニケーションの機能を持ちやすく、自己防衛として傷つきが維持される、というところがポイントに思う。「思考プロセスを明らかにするには、傷つきを体験してもらう必要があります」というところもポイントかな。コラムの順番というのも感情から思考になってる。認知療法よくわからずに使ってる人は、状況の後思考をとろうとして行き詰まる、ってのがあるけれど、感情からでも思考からでもどこからでもいい。UPとかは思考も行動も全部まとめて感情として構成していたと思う。

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