UP臨床応用編「第16章 統一プロトコルの異文化への適用」

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不安とうつの統一プロトコル 診断を越えた認知行動療法 臨床応用編

 異文化適用の章でなんと日本の事例が掲載されていました。国立精神神経センターでの事例?ですかね。とても貴重です

日本の事例

 28歳女性。5年に渡りSSRIやベンゾジアゼピン系向精神薬を処方されていたが不安や抑うつ気分は改善していませんでした

 主訴は人と関わる状況での不安、持続するイライラ、抑うつ気分でした。また簡単に逃れられない状況での強い恐怖、友人と親密な関係を築くことに困難を抱え、両親と距離があると感じていました。そうした状況をほとんど避け、活動性が低く、何をしてもほとんど楽しめない状態でした

 初回セッションでは、感情障害、治療構造、客観的なモニタリングの重要性について説明しました。

 症状を体験していることに彼女は否定的で、自分を非難する信念を抱いていました

 治療者は、「圧倒されることなく感情を理解する新しいスキルを学ぶ」ことによって治療の益を得られるだろうと話しました

 治療目標は「人と関わる活動を増やすこと」に向けられました

 気分誘導エクサイズでは、趣味のミュージカルの歌を聴きました。このエクササイズを行った時に、セラピストにどう見られるかを気にして、強い不安と恥を体験しました

 少しずつ喜びや楽しさに注意を向けて感じられるようになっていきました

 「他の人に迷惑をかけている」「変な人だと思われているに違いない」「いつだって礼儀正しくいなければならない」という自動評価を話しました

 新たな別の評価を考え出すことは出来ていたものの「頭では再評価を考え出せますが、感情は変わりません」と話しました

 治療者は「考えてみてどんな感じがしてくるか」尋ねました

 彼女はわずかに思考によって感情が変わることに気づくことが出来ました

 下向き矢印法を用いて「わたしは一生一人ぼっちに違いない」という中核自動評価にたどり着き、涙を流し深い悲しみと孤独について話しました

 治療者はその悲しみと孤独に断定せずに留まるように促しました

 次のセッションで「あの感情を感じてあんなにも孤独を感じていたことに気づき、肩の荷が下りた感じがしました。孤独な気持ちが強くなる時もあればそうでないときもあることにも気が付きました」と彼女は話しました

 感情駆動行動としては会話中に何度も「ごめんなさい」といっており、全く必要のない状況でも謝らずにはいられませんでした

 代替行動を始め、ごめんなさいという代わりに「ありがとう」というように試しました

 内部感覚曝露には取り組むことは強固に拒絶しました

 観察されることへの恥があり、完璧にエクササイズをやりきらなければならないと思い込んでいました

 また耐えられないほどの身体感覚が出て意識を失い、治療者に多大な迷惑をかけ、多大な恥になるだろうと考えていました

 感情曝露では回避する課題に取り組み、認知評価を検証していきました

 最後にポジティブ感情への回避も特徴としてありました

 友人とミュージカルにいく計画を立て、鑑賞し、ポジティブ感情を体験でき、楽しめました。興味や喜びをもたらす活動に継続して取り組んでいきました

 終結において、「重い鎧を外したような気持ちです」と話しました

 
 養育上の問題やいじめ体験があって、うつも不安も社交不安もパニックも、ほとんど全てのメジャーな症状がある事例、確かにおられる。そしてこういう場合もUPが効果的なんだな。どこが効果的かと考えると、感情曝露から認知的な評価の検討、不快耐性の再構成が重要なように思う。ポジティブ感情を踏んでいくことも普段のUPより取りあげてるみたいだけど、行動活性化的な機序とは違って、自己評価の低さが問題になっているように思う。つまり自己評価の低い人は、ポジティブ感情を感じることに罪悪感を感じ、回避行動をとっていることがある。しかし何年も治療してきて良くならなかった人が16回で良くなるというのはすごい。

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