UP臨床応用編「第4章 強迫症および関連障害群に対する統一プロトコル」

画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: 20200615_055837496_iOS-1024x768.jpg
不安とうつの統一プロトコル 診断を越えた認知行動療法 臨床応用編

今日も読んでいきます

第4章 強迫症および関連障害群に対する統一プロトコル

OCDにおける神経症傾向

 ある程度の「新入思考」は誰にでも生じるものであり、さらにOCDのプロセスと他の心理的障がいのプロセスの正確な判別が困難であることから、「神経症傾向」のような包括的なパーソナリティ因子が強迫観念や強迫行為に与える影響について注目されるようになりました

事例

 ルーク。OCD

事例概念化

 強迫観念は、大切な人に何かひどいことが起きるのではないかという恐れにまつわるものでした

 とりわけ、「ある部屋から別の部屋へ行く」、「ある行動から別の行動に移る」、「新たな物体に触る」などの行為をする時に激しい苦痛を引き起こしました

目標を定め、動機づけを保つ

 ルークが第1の目標としたのは、「一日中しなくてはならないやりなおし行動をなくすこと」でした。5段階に細分化しました

  1. 行為の繰り返しを5分遅らせる
  2. 繰り返しの回数を減らす
  3. わざと不正確に繰り返す
  4. 何もしない
  5. 悪い考えを思い浮かべながら行為を繰り返す

 第2の目標は「汚染恐怖に反応しない」でした

  1. チェックするのを避ける
  2. ハンドクリーナーは2回、授業の始まりと終わりにだけ使う
  3. トイレを使用する際にバリアを使わずものに触る
  4. 台所を掃除する
  5. わざと汚染されたものに触れ、その後数時間手を洗わない

感情を理解する

 広範な不安を感じている時には他人に悪い影響を与えているのでなく、自分が体験に耐えられなくなることを心配していることに気づきました

 思考を同定出来るとこうした状況を問題なくモニタリング出来るようになりました

 カウンセラーは強迫行為の短期的な結果について慎重に強調しました。悪循環のこの重要な部分を強調することは、強迫行為に対するネガティブな自己断定を軽くするうえで大きな意味がありました

 「強迫行為をする自分はダメな人間だ」のような断定的な認知を「強迫行為をせざるをえないのは、それが短期的に不安を和らげるからであって、そうすることが必ずしも自分がダメな人間であることを意味しない」のような文脈を適切に反映した認知に変えて、自分に対する厳しい見方を和らげます

認知的柔軟性

 このモジュールでは侵入思考そのものでなく「二次思考」に注意を向けるよう求めます

 「病気になる/汚染される」「姉が自動車事故に巻き込まれる」という強迫観念ではなく、「これらが思い浮かぶことが何を意味するか、そしてそれに基づいて行動しないことが何を意味するのか」という二次思考に注意を向けていきます

 「この思考は意味があり/未来を予測していて/強力だ」
 →思考は未来を予測せず、未来の出来事、特に人のコントロールの及ばない出来事を引き起こせない

 「この思考に基づいて行動するのはわたしの義務だ」
 →義務なのかどうか、義務とされる行動がいかに不可能かの考え直しに取り組みました

 「強迫行為をしないのは自分勝手だ」
 →強迫行為が自分へ与える影響、強迫行為が相手を愛し大切に思うことを意味するかについて話しあいました

 「しっくりこないという気持ちを追い払えなければ頭がおかしくなってしまう/この気持ちに対処できない」
 →激しい感情は人をおかしくしないことを振り返りました。過去に非常に不快な感情に耐え、うまく切り抜けた時のことを話し合いました

感情行動の逆をする

 恐怖の再評価の狙いは、強迫観念が事実かではなく、その考えを無視したらどうなるかであることを思い出してもらいました

 治療の目標は苦痛を消し去ることではなく、苦痛に耐える練習をして、苦痛で一日が台無しにはならないと学ぶことだと繰り返し伝えました

身体感覚を理解し向き合う

 内部感覚エクササイズにも取り組みました

 着ている服のシャツに手の平をごしごしこすりつけるようにして、汚染の気持ちと同じヒリヒリとうずく感覚が生じました

 毎日1週間続け、身体感覚に関連する不安が軽減したと報告しました

感情曝露

 声にだして語ることは曝露の内容に現在に焦点をあてて集中することに役立ちました

 15分ガンによる死を想像した後で、さらに15分座って恐ろしい考えを意図的に思い浮かべたことを振り返りました

 責任を感じることが極めて強力な要素だったので、取り返しのつかないことをしたという気持ちへの曝露が重要でした

治療上の課題

 治療期間を通じて取り組んだもう一つの課題は、ルークの彼女がOCD症状に対して生じる巻き込まれでした

 彼女は言葉で安心させるのでなく、ルークの強迫的でない行動を強化する方法を見つけるようになりました

 病気にならないと安心させたり、しっかり掃除しているから最近は残っていないと言って安心させるのでなく、「台所の掃除を手伝ってくれて感謝しているわ。あなたにはつらいってことわかってる」といいました


 病理モデルに基づいて介入していくのと比べて、モジュールに基づいて独立したエクササイズをしていくところがおもしろい。OCDに認知的柔軟性のエクササイズを行う所とか、強迫に対する二次思考を扱うって所もおもしろい。思考の内容としては不快耐性を主な問題にしているみたいだ。日本の行動療法学会系のCBTだとERPばかりみるけど、ヨーロッパのCBT、認知療法学会系の人のCBTだと認知介入はよくされてる。学会の偉い人が認知療法を発展させたいか行動療法を発展させたいか、それだけだと思うけど。昔わたしも強迫に認知再構成かけた発表を行動療法学会でしたけど、そこはスルーだったな笑。行動分析したらどうですか?とかコメントが来たりした笑。想定する病理モデルの違いってところで。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です